第50話 大聖堂で子供に手を引かれて奥に行ったら男に捕まって気を失わさせられました

学園から大聖堂までは馬車だとすぐに着いた。


「めちゃくちゃ大きいのね!」

馬車を降りた私は目の前の建物の大きさに私は圧倒された。

私はその建物の大きさに感激した。


前世日本でも石造りのこの建物の大きさはギネスものだと私が思うくらい大きかった。


「クラウディアさん。お口をぽかんと開けてはいけません!」

でも、私は同行していた副担任のアデライド先生に早速注意されてしまった。


「はい、すみません」

私がぼそぼそと謝ると

「声が小さいですし、『申し訳ありません』です」

「はいっ。申し訳ありません」

何もみんなの前で、それも学外の案内のシスターたちが見ている前でやらないくてもいいのに!


みんな笑っているし。

今日は社会見学なのに……なんで礼儀作法の先生にいきなり注意されないといけないの!

私はそう文句を言いたかった。


言ったら百倍くらいになって返ってくるから言わなかったけれど……


「はい、皆さん。本日はわざわざこの大聖堂にお越し頂きありがとうございます。

私はこの大聖堂でシスターをしておりますテアと申します。本日は皆さまを短い時間でございますが、この大聖堂をご案内させていただきますので、よろしくお願いします」

年配のシスターが話し出してくれた。


「先ほど、お一人の女生徒の方がこの大聖堂の大きさに感激していただいておりましたが、この大聖堂は教会の中では最大の大きさを誇っております。高さも200メートルございまして、恐らくこれは人間が作り出した建物の中では一番高いかと思います」

やっぱりそうなんだ。私は感動して聞いていた。


「ふんっ、高さで皇宮に勝とうなど不埒なことを考えるから陛下から睨まれるのだ」

私の横でコンスがきつい一言を発した。

その一言でコンスが教会に対して良いイメージを持っていないは良く判った。

コンスと教会は対決しているみたいだ。

あんまり褒めてコンスを刺激するのはまずいかも……


「ではこれから中をご案内します」

テアが手を上げて大聖堂の中に案内してくれた。


入ったところは巨大な礼拝堂になっていた。

天井もとても高い。

そして、南面一面がステンドグラスになっていて、とても美しかった。


「き、きれい!」

私は両手を握りしめてその景色に感動していた。

光が天井から漏れてその色とりどりのステンドグラスを光らせているのだ。


「クラウディアさん!」

アデライド先生が注意してきたので、慌てて私は口を閉じたが、いろんな色のガラスの光る様は本当にきれいだったのだ。


「きれいでしょう。わたしも初めてこの大聖堂に来て見た時に、神のお導きだと私は感激したのです」

私の横にテアが来て、頷いてくれた。


「本当にきれいです」

私は呆然として頷いた。


「よろしければ、もっと美しいところがあるのです。一緒にご覧になりませんか?」

「本当ですか」

私はその言葉に思わずついていきそうになった。


「クラウ!」

次の瞬間、私とシスターの間にコンスがいきなり入ってきた。

「あっ、ごめんなさい」

私は慌てて謝った。


「クラウディアさん。何を言っているのですか? 今は集団行動の時間です。勝手なことを自分一人だけしないように! シスターも勝手に連れて行かないだ下さいね」

「申し訳ありません。あまりにも感激して頂けたのでつい誘ってしまいました」

シスターが笑顔で謝ってくれた。

「申し訳ありません」

私もアデライド先生に慌てて謝ったのだ。


「本当にクラウはあっさりと釣られるのね」

呆れたヘレナの声が聞こえたんだけど……


「良ければ後でお声がけくださいね」

そう言ってテナが私から去っていくが、こんな手で誘われるとは思ってもいなかった。

でも、何があるんだろうとても見に行きたい、と思ったらコンスに睨まれてしまった。

これはダメみたいだ。



それから、テナが紹介してくれたものはとてもきれいなものが多かった。


パイプオルガンの音色に感激し、コーギャンのマリアの絵に感動した。

戦神ミネルヴァの裸像はとても凛々しく美しかった。ただ、あそこも凛々しくて思わず赤面した。


「でかいな」

思わず声を出したコンスはアデライド先生に睨まれて、身長がでかいと言わずもがなのことを言って誤魔化していたが……



その後、孤児院に案内された。


「お姉ちゃん」

「遊んで!」

「本読んでほしい」

「お絵かきよ」

私達はたちまち子供たちに囲まれてしまったのだ。


ここの孤児院は大きくて200人くらいの孤児がいるそうだ。

遠くではルードと停学から復帰したデジレが子供たちに囲まれているのも見えた。

なんか二人が仲良くしているのが見えて私はすこしもやもやした。


「お姉ちゃん。こっちでチャンバラごっこしようよ」

「えっ、いや、私は」

「そう言わずにさ」

体格の良いコンスが男の子たちに囲まれて、断るのに失敗して中庭に連れ出されていた。



「お姉ちゃんもこっちに来て」

私はその中のかわいい女の子に手を引かれたのだ。


「えっ?」

「こっちに私の宝物があるの」

そのまま孤児院の奥に連れて行かれる。

「ちょっと、クラウ」

慌ててヘレナが追いかけてくれた。

でも、私がカーテンの奥に連れて行かれてみんなから見えなくなった時だ。

いきなり私は後ろから男に抱きしめられて、口を塞がれた。

そして、次の瞬間には意識を無くしていたのだ。

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ここまで読んで頂いてありがとうございました

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こちらも面白いので是非とも読んでください。

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