男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第33話 教会の騎士達に私が聖女を突き落としたと冤罪の疑いをかけられそうになりましだか、ルードが助けてくれました
第33話 教会の騎士達に私が聖女を突き落としたと冤罪の疑いをかけられそうになりましだか、ルードが助けてくれました
それからが大変だった。
私は聖女を突き落とした犯人として、先生達に連れられて、職員室の横の部屋に連れて行かれて尋問されたのだ。
「どのようにして、聖女様を突き落としたのだ?」
やってきた騎士の男が私に喧嘩腰に聞いてきた。
私はなんで騎士が来たのか全然理解できなかった。
余程のことがない限り学園内に基本的に騎士は入れないはずだ。
なのに、横で物理のランベール先生が頷いている。
「だから、私はやってませんって! デジレさんが勝手に落ちたんです」
私はそう主張したが、先生は信じてくれなかった。
「私、見てたんです。聖女様が、この女とすれ違う時に、聖女様が突き落とされるのを」
聖女にいつもくっついている腰巾着が言ってくれるんだけど、
「はああああ! 嘘つくのいい加減にしなさいよね。私は何もしていないわ。デジレさんが勝手に落ちたんでしょ」
ダンッ
その横の騎士が机を思いっきり叩いてくれた。
私はビクッとした。
「何を言う、女。貴様、あろうことか聖女様を突き落としたのだぞ。そのような言い訳が通用するわけはなかろう」
横で騎士が怒り出したんだけど、なんで事実を言ったのに、信じてくれないのか理解できなかった。
「しぶといやつだな。既に貴様の蛮行は、目撃されているのだぞ。こちらにいる少女も貴様がやったのを見たとはっきり申しているではないか」
「正直に罪を認めれば良いものを、あくまでもしらをきるというのならば、我々にも考えがある」
二人の騎士はニヤリと不敵な笑みを浮かべてくれたんだけど……
私はゾクリとした。
「聖女様を殺そうとした罰当たりは宗教裁判にかけるべきではありませんか」
女が何か言ってくれるんだけど、宗教裁判って何よ?
前世ヨーロッパであった教会に都合の悪い考えを持つものを、魔女として断罪した、冤罪裁判でもやるつもりなんだろうか?
私は身の危険を感じてきた。
悪役令嬢クラウディアはこうして、罠にかけられて断罪されたんだろうか?
「その前に、まず、話さないなら、話したくなるようにしてやろうか」
男がニヤリと笑ってくれたのだ。
私は恐怖に顔がひきつってしまった。
継母に鞭打ちされた記憶が蘇る。
「どうなのだ、女?」
騎士が私の前にずいっと顔を乗り出した時だ。
私は恐怖を感じた瞬間だ。
ダンッ
と言う音とともに、私の胸元が光って男を弾き飛ばしてくれたのだ。
ガンガラガッシャン
と騎士の男はガラスを突き破って廊下に飛んでいった。
「クラウ、大丈夫か?」
そこに扉を蹴破ってルードが飛び込んできたてくれた。
「ルード!」
私は思いっきりルードに抱きついていた。
本当に怖かったのだ。
ルードが私を抱きしめてくれた。
「これは何事ですか? 何故聖騎士が学園内にいるのです。誰が許可を出したのですか」
その後ろにはアデライド先生がプッツン切れて立っていた。
「ランベール先生、説明して頂けますよね」
中にいた物理の先生を見つけて説明を求める。
「いえ、あのアデライド先生、聖女様がこの女に階段から突き落とされて、それを騎士が調べたいと」
「はああああ! 騎士が学園に入るのは厳禁です。この学園を作られた始皇帝様にあなたは逆らうというのですか?」
「いえ、ですが」
「我々は大司教様の命令で」
騎士は堂々と言うが、
「それがどうしたのですか? この学園では学園長の命令が全てです。教会は学園の秩序を乱したのです。どう責任を取ってくれるおつもりですか?」
アデライド先生は全く動じていなかった。
騎士もタジタジだ。
「そもそも、おかしいではないですか? 何故、大司教様が聖女が突き落とされたと知っているのですか? まだ、事件が起こったところですよ。あまりにも対応が早すぎます。このように用意周到に準備されているということは今回の件は教会が引き起こしたと考えるのが妥当だと思いますが」
アデライド先生が畳み掛けてくれた。
「何を仰っていらっしゃるのです。聖女様は崇高な存在で、我々は何かあればすぐに駆けつけられるように学園の外でいつも待機しているのです」
「それがどうしたのですか? そもそもあなた達が学園内に入るには学園長の許可がいります。その許可を取ったのですか?」
「しかし、聖女様が突き落とされて」
「突き落とされた突き落とされたと嘘が下手だな」
そこにいきなりルードが口を出した。
「嘘ではありません。わたしはたしかにこの女が突き落とすのを見ました」
デジレの腰巾着が言ってくれた。
「女、本当だな。嘘偽りはないのだな」
「絶対にありません」
女が断言した時だ。
「本当に馬鹿だな」
その言葉を聞いて何故かルードは笑い出したのだ。
「何故笑うのですか。ルード様」
女は怒ってルードを睨みつけた。
「いや、あまりにも嘘が下手だと思ってな」
「嘘ではありません」
「それは、この画像を見てから言え」
ルードはそう言うと、私の胸のロザリオに触れたのだ。
その瞬間私のロザリオが輝きだして、立体画像を映し出したのだ。
魔道具になっているみたいだった。
そこには私を突き落とそうとして手を伸ばすデジレが写っていた。
そして、次の瞬間私の魔道具が反応してデジレは弾き飛ばされていたのだ。
「「「えっ!」」」
皆唖然として画像と私を見比べていた。
「クラウには危険だと思って守りのロザリオを付けさせていたのだ」
ルードが言ってくれた。
私はそんな事になっていると知らなかった。
「そこの女、今、見たよな。聖女がクラウを階段から突き落とそうとしたのを」
「いや、そんな……」
もう女は目を白黒して震えていた。
「はっきりと写っていたぞ。その上、天罰が当たって私の守りのロザリオに弾き飛ばされて自分で落ちて行ったのだ」
「いや、そんな……」
「にも関わらず、貴様も嘘を付いた。貴様の親は教会の司祭だったな。これは教会の指示なのか?」
「いや、教会は関係は」
騎士が言い訳をしようとしたが、
「貴様らが許可を得ずにここにいる点からして十分に同罪だ」
「ギャッ」
外で騎士の叫び声が聞こえた。
「おい、ルード、逃げようとした騎士を捕まえたぞ」
割れた窓からコンスが竹刀片手に顔を出してくれた。
「ああ、ふん縛ってくれ。さて、教会がどう責任を取ってくれるかとても楽しみだな」
ルードはニヤリと笑った。とてもガラの悪い笑みだった。
「ルード様、あまりやりすぎはよくないと思うのですが」
アデライド先生が苦虫を噛み潰したような顔をしている。
でも、なんでアデライド先生がルードを様呼びなんだろう?
「クラウに手を出そうとしたんです。当然のことでしょう。ではここは、任せますので、私達は失礼します」
そう言ってルードは私を連れ出してくれたのだ。
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