男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第19話 パーティー衣装を着ると貴族の令嬢みたいな出で立ちになって、寮のホールで皆が注目してくれました
第19話 パーティー衣装を着ると貴族の令嬢みたいな出で立ちになって、寮のホールで皆が注目してくれました
「では皆さん。今夜は新入生歓迎のレセプションが行われます。新入生は着替えて、一階の寮のホールに集まって下さい。ではまた、レセプションの時にお会いしましょう」
マルタン先生の合図で、解散になったんだけど、レセプションパーティーがあるなんて聞いていないわよ!
私は教えてくれなかったルードに心の中で文句を言った。
「クラウ、どうするんだ? 私の衣装ならいくらでも貸すが、大きさが合わないだろう?」
コンスが親切に申し出てくれたが、公爵家の衣装なんて借りるわけにはいかない。それに背の高いがっしりとした体格のコンスの衣装は絶対に私は着れなかった。
「私の衣装貸しても良いけど……」
ヘレナとは身長自体は変わらないが、大きなヘレナの胸とこじんまりした私の胸の大きさを見比べてくれた。
見なくても、いいわよ!
あんたの衣装は着れないから。
私はブスッとして いたけど、
「最悪、制服でも参加する出来るかな」
心配して言うと、
「でも、新入生は先輩がちゃんと迎えに来てくれるのよ。制服じゃさすがに先輩に悪いんじゃない?」
クラスメイトのポピーが心配して聞いてくれた。
学園の新入生歓迎のレセプションでは、新入生が慣れるために、婚約者がここにいない新入生には上級生が一人ついてくれて、エスコートしてくれるそうだ。毎年、そこで親しくなったカップルが誕生するそうで、そう言うポピーも気合が入っていた。
「クラスの他の子に聞いてあげるわ」
親切にヘレナが他の生徒の方に歩いて行った。
「ルード様。レセプションでは私をエスコートして下さい」
大きな声が聞こえて、あのピンク頭が胸を付き出して抱きくようにしてルードに頼んでいるのが見えた。
「誰なの、ルード様に迫っているあの女は?」
「A組の図々しい女よ」
「あのでかい胸を使って、ルード様に迫っているらしいわ?」
女の子たちが白い目でピンク頭を見ていた。
私はその図々しさにさすがに少しムッとしていた。
「デジレ嬢、このレセプションは基本は上級生が新入生を歓迎してくれる会だ。だから、エスコートは、上級生がしてくれることになっている」
「えっ、そうなんですか? でも、私はルード様が良いんです」
「勝手な事をいっていてはいけない。俺は用があるから」
そう言うと、ルードは逃げ出していた。
「ちょっと、ルード様」
逃げ去るルードをピンク頭が追いかけて行った。
「何、あの女」
「ルード様に迫るなんて、ずうずうしすぎるんじゃない」
「信じられない!」
周りの女たちは憤慨していた。
本当にむかつく。
ルードも女とイチャイチャする暇があったら私に衣装の準備位してよ……
いやいや、これは本来は自分でしないといけない事だ。ルードは夢にまで見たこの学園に私を連れて来てくれたのだから。
それ以上を求めてはいけないだろう。
でも、私は実家に頼るわけにはいかないし、お金もほとんど持っていない。
バイトか何かを早急に探す必要があるだろう。
しかし、勉強もあるしどうしたらいいんだろう?
ダメだダメだ。今はそれどころではない。今日の衣装をどうするかなのだ。
ヘレナが当たってくれたけれど、流石になくて、取り合えず、私達は寮に帰ることにした。
ハイデマリーさんが持って来てくれる衣装の中に着れそうなものもあるかもしれないし。
寮の部屋の前ではハイデマリーが待っていてくれた。
「ハイデマリーさん。お待たせして、すみません」
私は慌てて駆け寄った。
「いえ、大丈夫ですよ。クラウディア様。勝手に寮監に鍵を空けてもらって衣装は部屋の中に入れさせてもらいました」
「有難うございます」
私は取り合えず、部屋に入って、今日のレセプションに着れるましな服がないかどうか確認しようとした。
「えっ⁉」
私は唖然とした。
すっからかんだった衣装ケースにはたくさんの衣装がぎっしりと詰まっていたのだ。
「これは?」
「すみません。既製品ですけれども、とりあえず、知り合いの侍女や商会と相談して適当に見繕わさせて頂きました」
「いえ、でも、これは全て高価なものでは」
私は目が点になっていた。
「学園の学生の着れる私服ってこんなものですよ」
笑ってハイデマリーが言ってくれたんだけど……そうなの?
私には判らなかった。私が家で着ていたぼろ服に比べたらとてもいいもので、下手したら妹の着ていた衣装よりも良い物だった。
まあ、大半が貴族の子供だから高価なものなのかもしれないけれど……
そして、一番最後の衣装で、目が点になってしまった。
それは青いドレスで、どう見てもパーティードレスだったのだ。
「あのこれは?」
「今日はレセプションのパーティーでしょう。それ用の衣装です」
「ありがとう。ハイデマリーさん。今日何を着たらいいか悩んでいたのよ」
私は喜んでハイデマリーにお礼を言った。
これで惨めな思いをせずに済む。
「既製品なので少し窮屈な面もあるとは思いますが、着れるはずです。学生用なので一人で着脱は出来るはずです。着てみてください」
私はその青い素晴らしいドレスを着てみた。
シンプルな装いのドレスだが、それを着たら貴婦人になったような気がした。
「髪の毛を整えさせていただきますね」
「えっ、お願いします」
ハイデマリーは騎士なのに、私の銀の髪を起用に結い上げてくれた。
鏡の私はどこからどう見ても貴族のご令嬢だった。
私は生まれて初めて令嬢らしい装いが出来て感激したら、涙が出て来た。
「クラウディア様。せっかくのきれいなお顔が汚れてしまいますよ。さあ、涙を拭きますよ」
ハイデマリーが涙を拭ってくれた。
「有難うハイデマリーさん」
「さあ、そろそろロビーに向かってください。私は適当に失礼いたしますから」
ハイデマリーは私を送り出してくれた。
「えっ、クラウ、衣装あったんだ。良かった」
ポピーが喜んでくれた。
「えっ、クラウなのか。制服の時とは全然違うな」
私を見て水色のドレスを着たコンスが驚いてくれた。
ヘレナなんて目を見開いて固まっていた。
でも、私はヘレナが悪役なんとかと言ったような気がしたんだけど、気のせいだろうか?
聞き直そうとしたら
「じゃあ下に降りようか」
コンスに微笑みかけられると手を取られてそのままエスコートされる形になって、下に降りた。
私達が階下に降りていくと軽いどよめきが起こった。
「皆が、クラウを見て驚いているぞ」
コンスが言ってくれたが、
「コンスに見とれているのよ」
だって、私から見ても背の高いコンスはとても格好良かった。
女の子の何人かは茫然とコンスを見ていた。
「ねえ、あの銀髪の女の子誰よ」
「あれはクラウよ」
「えっ、クラウって」
「ほら、あの最初に自己紹介しようとしてあがって何も話せなかった」
「嘘っ、あの地味な子が……」
「あの子あんなにきれいだったの!」
「衣装で化けたのよ」
みんな好きに言ってくれるが、私はその時までとても幸せだったのだ。
私は生まれて初めて良い意味で皆の注目を受けていたのだ。
この幸せがいつまでも続けば良いと思ったのだ。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
皆様の応援のお陰でカクヨムコンファンタジー恋愛部門週間第10位です。
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