男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第15話 皆の前で自己紹介させられましたが、早くも礼儀作法の先生に目をつけられて前途多難を感じて絶望しました
第15話 皆の前で自己紹介させられましたが、早くも礼儀作法の先生に目をつけられて前途多難を感じて絶望しました
「では、皆様に自己紹介をして、もらいましょうか」
なんか先程の砕けた感じのマルタン先生ではない。先生は少し緊張していた。
「そうですね。ちゃんとした自己紹介をお願いしますね」
じろりとアデライド先生がマルタン先生を睨むと、マルタン先生はビクッとした。
もう蛇に睨まれた蛙だ。
なんかこの先が思いやられそう!
「では真ん前のクラウディアさん」
マルタン先生はいきなり私を当てたのだ。
「げっ! 私ですか?」
思わず悲惨な声が出た。
「クラウディアさん! ゲッとはなんですか? ゲッとは。あなた令嬢でしょう!」
「す、すいません」
いきなりアデライド先生に注意されて、もう私は頭が真っ白になった。
「先生に謝る時は『申し訳ありません』の方が良いでしょう」
「はあ」
もう私は頭がパニックだった。
「あの子じゃない? 昨日ルード様と手を繋いでいたのは」
「そうそう、仲良くしていたわよ」
「どういう関係なのかしら?」
後ろの方で令嬢達が話してくれている。
アデライド先生に令嬢達も見ている。なんかもう最悪な状況だ。
だから、ルードが私を連行するから、こんなことになるのよ!
私は文句が言いたかった。
でも、仲良くって、ルードの場合、私が成績が悪いと自分が怒られるから私に勉強の特訓をさせようとしているだけで、決して仲が良い訳では無い! と私は言いたかった。
「アデライド先生。クラウディアさんは緊張してるんだと思います。一言一言注意されると恐らく、話せないのではないでしょうか」
私の左手ののコンスタンツェが助け舟を出してくれた。
「そうですか? こんな事で緊張するとは……まあ良いでしょう。では、まず、コンスタンツェさんが自己紹介をして下さい」
私はホッとした。
慌てて座ると、
「クラウディアさん。誰が座って良いと言いました。きちんとコンスタンツェさんの見本を見ておくんです」
「はい!」
私は慌てて立ち上がった。
「えっ、いや、見本と言うほどでは」
「コンスタンツェさん。皆の見本をよろしくお願いしますね」
じろりとアデライド先生はコンスタンツェを見たが、さすが試験会場で寝る度胸があるだけあってコンスタンツェはびくともしなかった。
「いや、まあ、見本にはならないと思いますが、コンスタンツェです。この学園は皆平等なので、私の事はコンスあるいはコンスタンツェと呼んでほしい」
ニコリとコンスタンツェは笑ってくれたが、そう言うところを見るとコンスタンツェも高位貴族みたいだった。
「得意な科目は剣術だ。我こそはと思うものはいつでも挑みかかってきてくれ。いつでも勝負は受けて立つ」
このコンスタンツェに剣術で勝負するなんて私には絶対に無理だった。
というか騎士団長でもコンスタンツェに負けることもあるということを後で聞いた。
「学科は全てが苦手だが、特に理科と数学は別世界の科目だと思っている。今日から皆、宜しく」
豪快な挨拶が終わった。
なんかその横でアデライド先生が頭を抱えていた。
「コンスタンツェさん、あなたという人は……」
注意しようとしたが、アデライド先生は無駄だと思ったみたいだ。
「じゃあ、クラウディアさんの右手のヘレナさん」
青髪の女の子が当てられた。
「はい。私はヘレナと申します。礼儀作法などはまだまだですが、足らないところはぜひとも皆様からご指摘ください。私はコンスタンツェさんと違って剣術とかは全然ですが、学科は得意だと思っていたのです。でも、あの理科の問題は別世界の科目だと私も思いました。今日から宜しくお願いします」
ペコリと頭を下げて座ってくれた。
「そうです。こんな感じでお願いしますね。じゃあクラウディアさん」
アデライド先生が喜んで今度は私を指名してきた。
「はい。クラウディアです。私は実家ではメイドのような生活を送っていたので、雑巾がけや、裁縫は苦手ですけど、ある程度は出来ます。
運動音痴で剣術とかはさっぱりで、学科の勉強もほとんどしたことがなかったので、クラス分けのテストで最下位を取ってしまって怒られています。こんな私ですが、今日から宜しくお願いします」
私がペコリと頭を下げた。
「まあ、クラウディアさん。勉強はできるやつはこのクラスにはほとんどいないからな。出来なくても問題ないぞ」
「マルタン先生!」
マルタン先生が慰めるつもりで言ってくれたが、アデライド先生に睨まれて、慌てて首をすくめていた。
「クラウディアさん。あなたは勉強もそうですが、礼儀作法も、まだまだです。今日から私がみっちりと指導していくので、心していなさい」
アデライド先生は私を獲物を見る様に見てくれたのだ。
いや、もういいですから……私はそれでなくても放課後はルードの補講があるのだ。
これ以上の指導なんていらないよ!
でも、私の希望は通りそうにないんだけど……
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