男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです
第3話 せっかく帝国の学園に迎えに来てくれたのに、父親が反対して行けなくなりました
第3話 せっかく帝国の学園に迎えに来てくれたのに、父親が反対して行けなくなりました
「も、申し訳なかったわ」
継母の私に対しての棒読みの謝罪に対して
「ふんっ、心のこもっていない謝罪だな」
呆れてルードが言ってくれた。
継母が悔しそうにルードを見て、ギロリと私を睨みつけた。
ヒェェェェ!
いや、もう止めて!
これ以上継母に突っかからないで!
後で私が6倍返しで怒られるから!
私はそう叫びたかった。
皆はルードの言葉にぎくりとするが、
「まあ、良かろう。それよりも話があるのだが」
ルードが話題を変えてくれた。
私はホッとした。
「帝国の方が我々にお話とは?」
父が驚いてルードを見た。
「男爵。取り敢えず、ルード様を応接室にお通しして。お話はそれからお伺いすれば良かろう」
外務卿がルードを見て慌てて言ってくれた。
「いや、別に私はここでもよいが」
ルードはそう言ってくれたが、
「そういう訳には参りません」
「左様でございますな。フリーダ。さっさとルード様をご案内して」
「判りました。色々お見苦しいところをお見せいたしまた。さあ、どうぞルード様」
継母が慌ててルードを連れて行こうとした。
ちらっと私を見たその視線は後で覚えておきなさいよと言っていた。
もう最悪だ。
「ハイデマリー!」
「はい、ルード様」
ルードは外に出る前に外で待機していただろう女性騎士を呼んでいた。
20代後半くらいのスラリとした女騎士だ。
「お前はこのメイドの傷の手当をしてやれ」
「判りました」
えっ、私の手当を騎士様がしてくれるの?
「いや、あの治療など、結構です」
私は継母の視線もあって断ろうとした。
「ルード様。メイドの傷の手当などわざわざ騎士様にしていただかなくても」
継母が慌てて口出ししてこようとした。
「クラウ、ちゃんと治してもらえ」
私の側で発せられたルードの言葉に驚いた。
クラウって私の愛称だ。
何故ルードが知っているんだろう?
「あっ!」
私は思わず大声で叫びそうになって、慌てて口を押さえた。
このルードという男、どこかで見たと思ったら夢の中で私を婚約破棄してくれた男がこいつだった。
「どうかしたか?」
「いえ」
ルードに聞かれて私は慌てて首を振った。
夢の中で私を婚約破棄した男があなただとは口が裂けても言えなかった。
そもそもこんなイケメンがメイドの私の婚約者になるなんてあり得ないのだ。
「良いな!ちゃんと治してもらえよ」
ルードは一言で私と継母を黙らせて、出て行った。
先程のルードが私の名を呼んだことは継母には聞こえていなかったみたいだ。
何か言いたそうな継母は視線だけで絶対に余計な事は何も話すなと言ってきた。
仕方無しに私は適当にこくこく頷いた。
継母は皆を追って慌てて私の部屋から出て行った。
私は騎士と二人だけになった。
私はホッとした。
その私に女性騎士のハイデマリーが寄ってきた。
「失礼します。治療させて頂きますね」
にこやかに笑いかけてくれた。
「でも、騎士様に治療をしてもらうなど」
「私はこう見えても、簡単な治療魔法が使えるのです。少し体を見させていただきますね」
私の了解を取るとハイデマリーは私に手をかざした。
「えっ」
次の瞬間、ハイデマリーは驚いた顔をした。
「どうかしました?」
私は思わず聞いていた。
「いえ、大丈夫です」
ハイデマリーは慌てて首を振ると、
「取り敢えず、顔の腫れだけを治しますね。ヒール」
ハイデマリーの手から金の光が光ってその光が私の頬を覆ったと思ったら、光が消えた。
「終わりました」
「えっ、もう終わったの?」
私は慌てて頬を触ったら本当に痛くもなんとも無かった。
治療魔法は凄いんだ。私は感激した。
「背中の傷はまた後ほど治しますね」
「えっ」
私は驚いてハイデマリーを見た。治療魔法って、かざしただけでどこを怪我しているか判るんだ。
それを知って、冷や汗が落ちた。
そう、継母は私に気に入らないことがあると引っ叩くだけではなくて、背中やお尻を鞭打ってくれたのだ。だから背中やおしりはムチの傷跡だらけだった。
それがこの騎士に知られた。
この騎士がルードに言いつけたら、後で、継母に更に酷い目に会うのは私だ。
下手したら二度と立てなくなるまで鞭打たれるかもしれない。
私は青くなった。
「気にされることはありませんよ。ルード様にお任せすれば全てうまく行きます」
ハイデマリーはそう言ってくれるけれど、あなた達が帝国に帰った後に私がまたムチで打たれるのだって!
もうこれ以上打たれたら私殺されるかもしれない。
継母は常識がないのだ。
「大丈夫です。絶対に私がお守りいたしますから」
ハイデマリーは太鼓判をおしてくれたけれど、あなた達が帰った後に私が叱られるんだって!
私は大声でそう叫びたかった。
その時だ。
ノックの音がして、別の騎士が私を呼びに来た。
使用人ではなくて、帝国の騎士が私を呼びに来るなんてどういうことなんだろう?
応接に入ると私は継母と義妹に凄まじい眼光で睨みつけられたのだ。
これは絶対にまずいやつだ。
私は青くなった。
「お前がクラウディアで間違いないな」
いきなり私はルードに確認された。
「滅相もございません。クラウディアはこちらの娘です。そちらはメイドのクラウで」
必死の形相で継母が叫んでいた。私を睨みつけて何も喋るなって言ってくるんだけど……
私は全く理由が判らなかった。
何故義妹のカミラが私になっているんだろう?
「平民の分際でクラウディアを呼び捨てにするな。クラウの愛称もな」
ルードが怒って叫んでいた。
なんでルードが怒っているのかよく判らなかったが……
「ルード様。男爵家の私の家内を平民とは酷いではないですか?」
父が言った。
「外務卿。俺を謀って別の娘をクラウディアだと偽装するのはどういう事だ? これは国際問題だぞ」
でも、ルードはそれを無視して外務卿に食って掛かったのだ。
「いえ、ルード様。お待ち下さい。こちらの銀髪の娘がクラウディア嬢だと言われるのですか?」
慌てて外務卿が私を見た。
「そうだ。大叔母様の銀髪を受け継いでいるからそうに間違いない」
たしかに私はおばあさまの銀髪を受け継いでいたけれど、なんでルードがそんな事を知っているんだろう。というよりもどちらにせよ属国の男爵家の娘の私が誰だろうが帝国との間に国際問題になるのはおかしいと思うんだけど……
「確かにエデルガルト様は銀髪でしたが」
「その娘のエレオノーラは栗色の髪でしたよ。孫のクラウディアが銀髪だという証拠にはなりますまい」
「何を言っているアロイス。お前はクラウディアの父だろうが。父が何故嘘をつくんだ?」
ルードが不思議そうに聞いてくれた。そうだ。全く持ってそのとおりだ。
私は大きく頷いてしまった。
「そもそも俺は5歳の時にそこにいるクラウと一緒に遊んでいるぞ」
私はそう言われて、初めて気づいたのだ。
思い出した。
「ええええ! あなたあの太っちょルードなの?」
「前の変なあだ名は余計だが、ルードはあっている」
ムッとしてルードは答えてくれた。
私は、昔、この男が私に地味顔とかちびとか散々いじめてくれた男の子だったということに気づいたのだ。
そうか、あの太っちょのルードがこんなイケメンになったんだ。
私は驚いてルードをまじまじと見た。
「今回は俺はそのクラウディアの親族からクラウディアを連れて帝国の学園に通わせる世話をするように言われている」
「そ、そんな」
継母等は青くなった。
どのみち、ルード等が帰った後に私を鞭打っていじめようと思っていたんだと思う。
どうやら、私はルードについて帝国に行けるみたいだ。
やった。このまま、おさらばできたらどんなに嬉しいだろう。
私は有頂天になった。
「お待ち下さい。ルード様。クラウディアは私の娘でもあります。勝手に連れて行かれては困ります。このカッセル王国では父親が賛成しない限りは勝手なことは出来ないはずですよ」
父がいきなり言いだしたのだ。
今まで何も世話していないくせに何を言い出すのよ!
私は大声で叫びたかった。
でも、父の言う通り、このカッセル王国は父親の親権は絶対だった。
父が認めない限り帝国に行けない。
私のバラ色の学園生活が……また毎日の雑用生活、いや、奴隷と変わらないむち打ち生活に戻ってしまうのだ。
私は真っ青になってしまった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
本日は3話更新予定です。
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皆様の応援のおかげで私の電子小説の第三巻が発売されました。
果たして、お義兄様の想いはエリーゼに通用するのか?
山場です。
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よろしくお願いします
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