第十二話

 ふっと、全身に力が入らなくなった。

 筋肉が弛緩した。

 右の足首がぐにゃりと曲がったのがわかった。

 視界に移る霞んだ世界が、段々と傾いでゆく。

 もう、滲んだ色しかわからない。

 おかしいな。

 何が起こっているのだろうか?

 ――あれ、もしかして……

 何かがわかりかけた瞬間、大きな衝撃が走る。

 身体の右側面に、何か固いものがぶつかる。

 同時に、意識がブラックアウトした。

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