第十話
救急車のサイレンが、頭に響く。
「―――お母さん!」
目を開けば、寝室のベッドの上。
ナイトテーブルに置かれた時計の時針は、まだ2を通り越したばかりだった。
怖い。
眠るのが怖い。
何が起こるか、わからないから。
動くのが怖い。
何を引き起こしてしまうか、わからないから。
私は、いい子にしていたはずなのに。
ちゃんと、してたと思ったのに。
でも、結局、負担をかけてしまった。
だから、母は倒れた。
私は、悪い子だ。
役立たずだ。
両親をつなぎとめることも、母一人を守ることもできなかった。
何も、できなかった。
ただ、つらかった。
胸が、痛かった。
胃が、痛かった。
どうすればいい?
わからない。
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