第六話

黒板に、チョークが白い跡をつける。

「自己紹介をどうぞ。」

五大院美織ごだいいん みおりです。よろしくお願いします。」

軽く頭を下げる。

担任の早川はやかわは数秒こちらを見ていたが、私がこれ以上の自己紹介はしないとわかると前を向いた。

「じゃぁ、空いてる席に着いて。一つしかないけど。」

「はい。」

教室の一番後ろに向かう。

隣の席になる生徒に軽く会釈し、席に着く。

以前なら楽しかったはずの、同年代の子と共に過ごす空間学校は、もう息苦しさしか感じなかった。

自分がどこか浮いているかのような、居心地の悪い、不思議な感覚がするだけだった。

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