第5話 大型エレベーター起動

 地下世界の大型エレベーターはメカニックの手によってほとんど直っている。ただ、動力の元、エネルギーが足りない状態だったんだって。まぁ、その問題は僕が拾ったバター猫によって解決だ。ラッキー!


「ラビット。そこに円形の穴があるだろ。そこに、バター猫を入れるんだ。バター猫を……というか……それが入ってるケースを。だな」

「了解。でも僕がやっても良いの? こういうのはメカニックのほうが詳しいでしょ」

「穴にケースをはめるくらい、お前にもできるさ。やってくれ、ラビット」

「あいあい。それじゃ、任された」


 僕がケースをはめると、機械がゴウンッと唸る。ゴゴゴゴゴッと力強い音が続いて、なんだかテンションが上がるなあっ!


「ケースの中のバター猫は大丈夫かな? 大丈夫でないと困るけど」

「心配してるのか?」

「僕たちを地上へ引き上げてくれる救世主だからねー。無事で居てくれないと困るよ。そういえば、猫は動物だと思うんだけど、食べ物とか僕たちが食べてるものと同じなのかな?」

「知るか。俺は機械専門だ」

「えぇ……」


 猫については……地上に上がればもうちょっと詳しいことが分かるだろうね。今は地上へ向かうことだけを考えよう。バター猫がエレベーターを動かせることは、地下世界ではまだ僕とメカニックしか知らない。周りに知られるときっと面倒なことになる。だから、さっさと地上に上がってしまう。面倒はごめんだからね。


「ラビット。準備は良いか?」

「僕はいつでも準備出来てる」

「おっし。エレベーターを動かすぜ」


 メカニックがコントロールパネル(とかいうやつ)を操作して、すぐにエレベーターが動き出す。うおおお! 凄い! 上昇してる! ジャンプするのとは違った感覚だ。凄い凄い! 面白いや!


「ラビット。あまり、はしゃぐなよ。柵なんか無いからな」

「分かってる。気を付けるよ」


 わくわくしながら、体が動き出さないように我慢する。はしゃぎたい気持ちはあるけど、我慢我慢。


 エレベーターは、二分から三分ほど一定の速度で上昇を続けて、それから、ゆっくり速度を落とした後、完全に停止した。辺りはまだ暗い。エレベーターの外に、柵つきの細い通路が繋がっている。ここを進めば地上に出ることができる……はずだ! 先がどうなっているか確かめなければ。どきどきする。


「メカニック。もうケースはエレベーターから外して良いのかい?」

「構わないぜ。今ケースを外してもエレベーターが落ちたりはしない」

「了解、なら外しちゃおう。冒険の始まりだ」

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