第2話 ボーイミーツキャット
近くでバター猫はゴミ捨て場に着地することなく浮きながら回転を続けている。たぶん、香ばしい匂いがしてる方がバター? で、四つの足がついてる方が猫? だな。直感的にそう思った。
なんだか不気味にも感じられるし、ちょっと怖い。とはいえ、ただ見続けていても仕方がないので、ゆっくり手を伸ばしてみようか。おそるおそるーと。
「ニャッ!」
素早くバター猫の足が動いた。たぶん、前足だ。伸ばしていた手をひっかかれたのかな? 手袋をしていたおかげか痛くはない。とはいえ、攻撃……されているのなら、いったんてを引っ込めるべきだろうか。今も伸ばした手をバシバシ攻撃されている。手袋のおかげで痛くはない……たぶん猫というものは、それほど高い火力を備えてはいないんだな。そこはちょっと安心だね。
正面からだと叩かれまくって鬱陶しい。後ろ? に回り込んでみると、攻撃は飛んでこなくなった。その間もバター猫は回転を続けている。よく見ると後ろにも長いものがついている。四本の足とは形状が違う。これは、足とは違う器官だろう。おそらく尻尾だろう。少しかたちは違うけど、ネズミという動物の尻尾という部位に似た雰囲気がある。つまり猫っていうのは動物なのかな? 毛が生えてるみたいだしね。僕が知ってる動物なんてのはネズミくらいだけど……あ、人間も動物に分類されるんだっけ。友達が言ってたな。観察をしているうちに少しずつだけど猫という存在を理解できてきている……気がする。僕の考えは合ってるかなあ。
とりあえず……猫を後方から中型カプセルケースに収容し、背負った。ケースの中でも猫は回転を続けているんだろうか? 軽く動かしてみても内部から接触音は聞こえてこない。上から落ちてきて地面にはつかなかったように、上下左右のどちらにも着地することはないらしい。でも、さっき僕を叩いてきたことから考えて、ものに触れられない訳じゃないみたいだ。まるで、着地という結果だけを拒んでいるみたい。不思議だねえ。
「よしよし、おまえを運ぶからな。良いよね。答えは聞かない」
僕の言葉に対して、返事をするみたいにケースの内側から「にゃ~」と鳴き声がした。なんだかマイペースな感じで可愛らしく感じられる。さっきは驚いていたから気づかなかったけど、今思えば猫って可愛い見た目をしていたかもしれない。帰ったら改めて猫を観察してみよう。
念願のバター猫を手に入れた……! と思う。あとは帰って友達に見せよう。なんて、考えていると頭上から音がした。とっさに顔を上げると、いくつものゴミが天井の隙間から降ってきているのが分かった。
ゴミは多いけど、よくあるハプニングだ。当たらなければどうということはない。頑張って帰るぞ!
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