デートからの…

 柚穂を追いかけるも…

 

 柚穂…

 

 めっちゃ走るのはえーって‼︎

 

 

 …

 

 そういや、柚穂って走るのも早いけど…隠れるのもうまいんだよね。

 

 

 幼馴染ならではの情報‼︎

 

 悲報‼︎

 

 柚穂は、追いかけっこもかくれんぼも全力でやる人間!と、オレの幼い記憶がただ今…よみがえりました。

 

 

 …

 

 このまま走っても…たぶん柚穂は、見つからない。

 

 きっと、どこかに隠れているはず。

 

 

 そして、たぶん…オレの後をこっそりついてくるはずなんだ。

 

 

 これは、新しいデートなのかもしれない。

 

 

 いきなり行方不明になった幼馴染を探す恋バトル‼︎

 

 

 見つけたら濃厚なチュ〜を♡って…

 

 そんなわけない。

 

 

 とりあえず柚穂がついてくるだろうと思うので、一旦帰宅いたします。

 

 外での追いかけっこは、危険ですので。

 

 

 柚穂は、たぶん今ごろ探偵気分でオレについてきているはず。

 

 

 …

 

 チラッ

 

 

 うん、やっぱり…います。

 

 

 人間の視界って意外とあるんですよね。

 

 だから、見えてないと思われていますが…オレはバッチリ柚穂を確認することができました!

 

 そんなこんなで、家の前くらいまできましたよ。

 

 

 携帯を見るフリをして、カメラにいたしました。

 

 

 柚穂は、気づいてないでしょうがオレはバッチリ柚穂を撮影いたしました。

 

 

 とりあえず、ついてきてるし安全ですね。

 

 

 なのでオレは知らん顔して家に入りました。

 

 

 で、すかさず玄関の覗き見るところから柚穂を確認。

 

 

 なんか、少し身を縮めた風で小走りに自分の家に入って行きました。

 

 

 身を縮めても…めっちゃ見えてるんやけどね。 

 

 敵に狙われた小動物みたいですね。

 

 必死か‼︎

 

 

 …

 

 …で、どうしよう?

 

 

 柚穂…怒ってるよね。

 

 

 柚穂が何体もいたらいやだって、オレの脳内でなっちゃってるって思ってるだろうし…

 

 

 いや、柚穂がたくさんいてもいいんよ…

 

 ただ、オレの部屋が…ベッドが占領されるのが困るだけで…

 

 

 …

 

 なんて謝ればいい?

 

 

 …

 

 柚穂が二人いたら、お菓子半分こになるけどいいの?

 

 とか⁇

 

 

 …なんか違う気がする。

 

 

 なら、オレはたった一人の柚穂が……

 

 てか、てかさ‼︎二人いたら兄貴と半分こできんじゃね⁉︎とか、いまさら思った。

 

 …

 

 

 あー、でももう一体の柚穂も兄貴を好きだったら、二倍面倒か。

 

 

 てなわけで…

 

 

 どうする⁇

 

 

 …とりあえず謝りに行かなきゃ。

 

 

 でも、部屋に入れてもらえる気がしないんですけどーー…。

 

 

 まず、そこが問題だ。

 

 二階の部屋から無理矢理侵入する⁇

 

 

 …

 

 だめだ…捕まるわ

 

 

 じゃあ、普通に

「あー、疲れたわー。とりあえず先風呂入るわ」

 って演技する?

 

 

 …

 

 しないよねー。

 

 

 ‼︎

 

 オレは天才かもしれない‼︎

 

 いい名案が思い浮かんでしまった。

 

 

 幸い柚穂のおかあさんがいたから、なんなく家に入ることができた。

 

 

 そして部屋の前でオレは…

 

 手汗をめっちゃ握りながら

「和馬だけど、入っていい?」

 と、兄貴風味の声で演技したのである。

 

 

 すると…

 

「あー…、どうぞ」

 

 と、まさかの開かずの扉だと思った扉がオープンしたじゃありませんかっ‼︎

 

 

 ナイス‼︎

 

 オレっ‼︎

 

 

 手汗をギュッとして、いざ柚穂の部屋へ侵入いたしましたよ。

 

 そしたら柚穂ってば…

 

 こじんまりと体育座りしていましたよ。

 

 体操服、着てないし…なんなら、体育の時間でもないのにさ…。

 

 オレの部屋では、めっちゃ広々転がっているくせに…

 

 

 …

 

 柚穂は、ずっと背を向けたままだった。

 

「あのさ…」

「うん、デートじゃなかったっけ?って言いたいんだよね?わかってる。デートからのいきなり追いかけっこして、かくれんぼからの探偵ごっこだもん…。呆れるよね。てか、デートなんて題名がよくなかったよね。わかってる…わかりたくないけど…わかってるよ」

 

 と、またも意味不明な発言の柚穂さん。

 

 

 …

 

 デートって題名以外なんかあるのか?

 

 あ、逃走そうそう…みたいな題名がよかったかな?

 

 って、そんなのどうでもいいさ。

 

 柚穂…今オレのこと兄貴だと思って話してるよね。

 

 オレは…きちんと自分の言葉で謝りたいんだけど…

 

 タイミングがムズイ…

 

 

 そもそも…ずっとあっちみてるし…。

 

 

 …

 

 どうしよう…

 

 柚穂の前に回り込んで一緒に体育座りした方がいいんかな。

 

 

 …

 

 でも…逃げられたらまた、追いかけっこ始まる可能性大だな…。

 

 

 …

 

 

 困ったな…

 

 どうしよう…

 

 

 …

 

 

 続く。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る