デート

 デートが始まったわけなんですけど、オレは兄貴の前で、めっちゃいいデートにしてやるみたいな…イキったこと言っちゃったんだけど…

 

 

 デート…したことないから、どんなデートが喜ばれるのか、正直わからない…。

 

 

 なので、事前にめっちゃ調べたんだけど…

 

 流行りのお菓子みたいな、スイーツ?を食べたり、メジャーなところで映画、ショッピングとか水族館なんてのもあったんだけど、柚穂はとりあえず、みたい映画があるからそれをみようって言ったんですよ。

 

 

 しかも、暗いから大丈夫でしょって。

 

 

 ?

 

 大丈夫とは⁇

 

 よくわからなかったけど、まぁいいかなって感じで映画に行くことにしたんですけど…

 

 …

 

 デートってことは、やっぱり手繋いだ方がいいのかなって…思ったんですよね…。

 

 いや、そんなこと聞いたら…キモがられるよね。

 

 なんて思い歩いていたら、

 

「手…繋ぐわけないよね」

 って、ぼそっと柚穂が呟いたんですよ。

 

 だから、地獄耳なオレはすかさず

「手、繋ぐ?」

 って聞いたんよ。

 

 そしたら…

 

「許可とってあるの?」

 って。

 

 ?

 

 許可とは?

 

「え?どういうこと?」

 ってオレは、思わず質問したんよ。

 

 

 だって許可ってね…

 だれによ?

 なに?って考えていたら、

 

「そもそも、デートするってこと言ったの?それとも…幼馴染とのただの買い物って言った?」

 

 と、なぞなぞみたいなことを言い出した柚穂。

 

 だれになにを言うん?

 

 …

 

 兄貴には、きちんと柚穂もいた時に言ったよね…?

 

 なんなら母さんにもさ…

 

 

 あと、だれかいましたかね⁇

 

 

 …

 

 

 首を傾げる案件ですな。

 

 

 …

 

 

 キリンだったら、もう傾げすぎて床に頭ついちゃうよね…。

 

 てか、キリンでよかったよ。

 

 ゾウなら、首傾げたらすっ転んでんじゃね⁉︎ってわけよ。

 

 …どっちでもいいか。

 

 そもそも首を傾げるのは、オレだった。

 

「柚穂…、だれになにを?てか、手繋ぐ?繋がない?」

 

 

 柚穂は、少し考えて

「みつかったら、ビンタされるかもしれないからしない。わたしいい子だから」

 

 って自分をいい子発言したんですよね。

 

 といいますか…

 そもそもがですよ?

 

 ビンタってなんなん?

 

 どこのだれの手がビンタしてくるんよ?って思うんだよね…。

 

 

 …

 

「柚穂は、発言に謎が多いな」

 ってはっきり言ったさね。

 

 そんな言葉に柚穂はさ、

「優馬の方が謎でしかないよ?そもそも、サルなのか馬なのかわかんないし」

 ってオレをじっとみた。

 

 …

 

 

 なに⁇

 

 

「どういうこと?」

 

「だから、さるどしなくせに名前に馬ついてるじゃん」

 と。

 

「あー、なるほどねー」

 ってすぐに納得したよね。

 

 でも、そう言われればそうだ。

 

 さるどしなのに…なぜ馬が名前に出てきたのだろう?

 

 

 つけるなら、優ザルってなるか…。

 

 

 …

 

 あんまり名前にさるってつく人おらんよね…。

 

 苗字ならいそうだけど…

 

 …

 

 うちの場合は…兄貴がそもそも、うまどしだから…たぶんその流れなんだろうけどね。

 

 でも…今の柚穂に、あんまり兄貴の話は…禁物だよね。

 

 きっとさ…

 

 てなわけで、親が動物好きなんじゃん?って適当に言っておいた。

 

 

 そしたら柚穂も適当に、あーそうかもねって返してきたからよしといたしましょうかね。

 

 てかさ‼︎

 

 これって…ほんとにデートなん⁇

 

 

 これじゃただの幼馴染とのお買い物だよね?

 

 …

 

 

 まぁでも、いっか。

 

 オレたちは、付き合ってるわけでもないし…

 

 そもそもが…兄貴がふざけたことしてるから、こうなったわけだし…。

 

 

 

 

 

 …

 

 

 映画館につくと、オレたちの斜め前くらいの席に、それはそれはイチャイチャするカップルがいたんですよ。

 

 

 で、そのカップルをみて柚穂が

「あのさ、浮気って…どこからが浮気なんだろう?」

 って真剣に聞いてきたんですよね。

 

 

 うーん…

 

 …どこからなのだろうか?

 

「わかんないけど、オレは…例えば彼女が他の人とどっか出かけたりしたら…モヤっとするかなぁ」

 って真面目にこたえた。

 

 そのこたえに柚穂は、

「じゃあ、もうアウトじゃん」

 って言ってオレをみた。

 

 

 アウト…なの?

 

 なぜ⁇

 

 

 そもそもオレは彼女いないし…柚穂だって兄貴と別れたんだし…

 

 

 …

 

 

 てか…もしかして…兄貴と柚穂って…別れてないとか⁉︎

 

 だから兄貴と、普通なん⁉︎

 

 

 …兄貴は、たしかに彼女いるって言ってたけど…でも、一人しかいないとは言ってなかった…。

 

 

 帰ったらゆっくり聞いてみようかな…

 

 

 柚穂に聞いたら…なんか、なんかね…。

 

 兄貴が浮気して二股されて捨てられたとか…言ってきたら…アレだもんね。

 

 可哀想だよね…そんな傷口ひらいたらね…

 

 

 なんなら…彼女いてもいい!それでも兄貴を好き‼︎みたいになってたら…もっと可哀想だけどさ…。

 

 

 柚穂…兄貴に沼ってないか?

 

 大丈夫か?

 

 そんなオレも一緒に沼ろうかな…

 

 

 いや、そこは…沼から引き上げた方がいいんよね?

 

 

 でも、どうやって…

 

 

 …

 

 

 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る