チューリップ
春休みに入った。
高校最後の春休みも、生徒会の仕事が盛り沢山だ。
入学式に向けて、生徒会というよりは生徒会長としてのやるべきことがある。
誰もいない学校。
私は生徒会室に向かう前に『商高花壇』に寄った。
長谷田先生と植えたチューリップは、茎を伸ばし蕾がなっていた。
「……咲くまで、もう少しだな」
「……え?」
声のする方向を向くと、そこには長谷田先生が立っていた。
「どうして、ここに」
「生徒会室で待っていてもお前がなかなか来ないから」
そう言いながら、私の隣に立った。
「……花、いつ咲くと思う?」
「もう少しじゃないですかね」
「アバウトだな」
「私、チューリップじゃないから分かりませんよ」
先生もこの花が咲くことを楽しみにしているのだろうか。
そんな風に聞こえる言葉が、少し嬉しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます