誰か


「……え」

「……これは」



 翌日朝、学校に着いてすぐに香織と体育館へ向かった。


 何も無い。

 そう思っていたのだが……予想は外れた。



「え、紗奈。準備出来てるよ」

「本当…しかも議長の進行文まである」



 私が途中で放棄した議題案のまとめも完成してある。



「……え、峯本先生かな」

「確認しに行くよ!!」



 始業までまだ少し時間がある。

 香織と共に職員室に向かった。






「峯本先生ー!!」

「んんー?」



 偶然、廊下を歩いていた峯本先生に遭遇した。

 先生はクルッと振り返ったまま固まっている。



「おはよ……。そんな焦ってから、どした?」

「先生、生徒総会の準備してくれたのは先生ですか?」

「ん? ……あぁ、その件ね」



 少し何かを考えた後、言葉を選ぶように口を開いた。



「俺は、何もしていないよ。………長谷田、かな?」



 切れの悪い言葉に違和感を覚えたが、用意したのが峯本先生ではないと分かれば、取り敢えずは良い。



「そうですか、分かりました。……ありがとうございます」



 峯本先生は片手を挙げて、職員室に入っていった。



「何か……妙な言い方」

「うーん、どうする紗奈」



 しかし、良く考えれば。

 生徒会室に入れるのはメンバーと生徒会担当の先生だけ。


 あの部屋のパソコンを開けるのもメンバーと生徒会担当の先生だけ。


 だから、峯本先生がやるとか有り得ないんだよね。


 となると、やはり長谷田先生……。



「ショートホームルームが終わったら生徒会は準備の時間だからさ。その時、長谷田先生に確認してみるよ」

「うん、それがいいね」

「よし……教室行こうか。香織、付き合ってくれてありがとう」

「えへへー、良いのよ!」



 私たちは少し早歩きで教室に向かった。



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