最終話

「さて、喜望峰を通ってアフリカを制覇したわけだが、どうする湊? 次はアメリカ大陸か?」



 俺は静かに首を横に振る。



「あそこはヨーロッパが支配したからこそ、アメリカができたんだ。ヨーロッパそのものを叩けば問題ないはず。このまま進路はヨーロッパだ」



 すでに各地で大和の主砲でヨーロッパ諸国を攻撃している。おそらく、俺たちに対抗するために、手を組んでいると考えて問題ないだろう。では、どうやって対応するか。俺には一つ考えがあった。






「ヨーロッパが見えてきたわよ! 大艦隊でお出迎えされてるわ」とミオ。



 遠くにはスペイン、ポルトガル、ドイツ、イタリアの国旗がたなびいている。



「二人とも、例のものを準備してくれ」



「例のもの? 奴らを仕留めるための最新兵器か?」秀吉は興味津々だ。



「最新ではないですが、奴らを一撃で仕留めて見せます」と言うと、「一撃!? いくら大和が強くても、それは無理だろう」と秀吉は即座に否定する。



「みなさん、今回の作戦では、大和が激しく揺れます。しっかりと、欄干などに掴まっていてください」俺はスピーカーを通して指示をすると、大和を敵の艦隊の横に回り込むように操縦する。




 当然、敵艦から砲撃が飛んでくる。俺は大和で退避行動を続ける。



「おい、これはどういうことだ! お前は言ったではないか。一撃で仕留めると! まさか、敵前逃亡する気か?」と秀吉が非難する。



「まあ、後ろを見てくださいよ。大和の後ろから、未来の技術で作ったロープを伸ばしています。これで、艦隊を縛り上げます」





 数時間後、目の前にはロープでがんじがらめにされた敵艦隊が出来上がっていた。



「さあ、これでどうですか? 敵艦のどれかに一撃をお見舞いすれば、連鎖的に爆発します」



「なるほど。その役目、やらせてもらおう」どうやら、秀吉は最後は自分の手で片付けたいらしい。



「俺にもやらせてください。一緒にスイッチを押しましょう。日本の未来を切り開くために」



 俺と秀吉は主砲のスイッチに手をかけると、同時に押す。



 大和の攻撃はきれいな弾道を描くと、敵艦に着弾する。そして、連鎖的に爆発する。まるで、花火のように。



「さすがに、今の光景を見れば、奴らも降伏するでしょう。日本には敵わないと」





 俺たちは日本に戻ると、秀吉を堺の港に降ろす。



「それで、お前たちは、これからどうするんだ? 未来へ戻るのか?」



 俺は首を縦に振る。



「どんな未来が待っているか、分かりませんけどね。秀吉さん、あなたの行動にかかっています。頼みましたよ!」



 大和はタイムワープに向けて、細かく振動している。俺がスイッチを押すと、秀吉や堺の港がぐにゃりと歪む。秀吉が手を振っている姿がかろうじて見える。



 今回の作戦で、未来がどう変わっているかは分からない。だが、それほど心配はしていなかった。秀吉が素晴らしい国を作り上げていくはずだから。

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戦艦大和、大航海時代で無双する〜豊臣秀吉と世界征服を目指せ!〜 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993

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