ノスタルジーから連なる逡巡

過去というのは時に輝かしく愉快で、時に暗澹たる不愉快さを持つものである。ある部分ではきらめいて、ある部分では悍ましいとか、そういう意味ではない。


それはさながらウルトラQのように、マーブル模様で両面性のあるものだ。


現在も同じではある。現在というのは、過去から連なる一瞬に過ぎず、口を開いたらもう開く前は過去なのだから。

だが、遠い過去は遠ざかる時間の中でより輝いたり褪せたり、たのしくなったりこわくなったりする。それらの出来事をあるいは忘れあるいは忘れずに、今を過去にしていくのである。諸君の中にも、そうだという者があるだろう。


過去は脚色されていく。

あるものはより輝かしく、あるものはより澱んだ色に。

ところでヒトは、マイナスのイメージや思い出の方がこびりつくものである。それが未来をも侵食し蝕むこともあるほどに。

ふと思い出したステキメモリーから、封じ込めていたパンドラの箱が開いてどろどろとしたものが流れ出ることも、ままあるのではないだろうか。

一度掬い上げられた思い出の澱は、現在にまとわりつき要らぬ逡巡を生み、未来へもその穢れた手を伸ばす。


そんな、ノスタルジーから連なる逡巡というやつに、私は生きている限りつきまとわれることだろう。


この書き散らしが気に入った諸君は、

次回、『正解とは何か』にも乞うご期待。

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