第19話 抜け駆け禁止!ですよ!
モーニングセットを食べ終わった俺たちは店を出て待ち合わせ場所へと向かい、駅前に集まっている3人の姿を確認した
「3人ともおはよう」
「おはよ!」
「おう、おはよー」
「ん…おはよ」
「2人ともおはよ!」
あれ、結奈口調を隠さなくて大丈夫なのか?
ここのメンバーになら大丈夫と判断したとかか?
後で聞いてみよう
「それで、2人でどこに行ってたのかな?結奈ちゃん?」
苦笑いを浮かべながら俺たちに問いかけてくる旭
「私たち2人共早く来すぎちゃってて、時間をつぶすためにカフェに行ってたんですよー」
それに対し満面の笑みで返す結奈
「あー、そーですか。楽しかったですかぁ??」
「とっても楽しかったですよ?一緒に来れなくて残念でしたねぇ…」
「むむむ…」
2人が睨み合っているのを他所に俺は儁と春音の方に行きスケジュールの確認をする
「もう8時40分だからトイレとか済まして、おやつとか飲み物とか買っといたほうがいいよな」
バスとか酔うタイプだから酔い止めとかも買っときたいんだよなー、持ってくるの忘れちゃったし
駅前のコンビニに売ってたっけな…
「そうだな、9時出発のやつに乗るからもう準備しといた方がいいな」
「了解」
「ふわぁ…、わかったー、」
春音は欠伸をしながら答える
「めっちゃ眠そうだな春音」
「あーしめっちゃ朝弱いんだよね…」
「まぁ、なんか見た目通りのキャラだな」
「ん…よく言われる、常に眠そうなギャルって」
やっぱりか
眠そうって言うか目が半開きでちょっと目つきが悪いというか
いつも気だるそうにしてるからなぁ…
「そんなことより、春音。あのいがみ合ってる2人を呼んできてくれないか?」
儁は結奈と旭を指さし、その2人を連れてくるように促した
「ん…わかったー」
重たそうなまぶたをこすりながら2人の元へととぼとぼ歩いていく
「おーい…、二人ともー」
その後俺たちはトイレを済ますなど、出発準備を整えバスへと乗車した
☆☆
「やっとついたぁぁぁぁぁ!」
旭は両手を空へと上げ、叫んでいた
どのくらい上げていたかと言うとどこぞの麦わら帽子が「海賊王に俺はなる!」と言う時くらい上がっていたと思う
いやあげすぎだろ、テンションも手も
「それじゃあまずどこから行こうか。誰か行きたいとこあるか?」
儁が四人に問いかけると一斉に俺の手元にある園内マップへと目を移す
うーん、遊園地に来るのも初めてだしな~
小学校の頃の修学旅行とか参加しなかったし、絶叫系に挑戦してみたい気持ちもあるんだが…
「悠人はどこに行きたいとかあるー?」
旭は後ろから俺の肩をつかみ、横からひょいと顔を出して俺の顔を覗き込むように聞いてきた
旭さん?あまりにも距離が近いです
俺の肘がその豊満な胸に当たってるんですが…
そこへ結奈がやってきて目を><にしてぐいーぐいーっと旭を引っ張り、俺から剥がそうとしている
(ちょっと旭ちゃん!今日は抜け駆け禁止っていったじゃないですか!さっき駅前で今日はあくまでも悠人くんが楽しむこと第一優先にするってことでターン制でアトラクションとか乗ろうって言ったじゃないですか!)
(こういう普通のシーンではいいでしょ〜?悔しいなら自分もすれば?まあ案外結奈ちゃんは奥手だから無理か笑)
最初はライバルなんていないほうがいいって思ってたけど、私はライバルというか敵がいないと本気になれなかったんだよね~
結奈ちゃんがいなかったらいつまでも告白するの躊躇ってたと思う
かといって突然の告白すぎたのは反省点だけど…
まあでも絶対に渡したくないっていう気持ちがより強くなったからいい刺激になるし
(わ、わたしだってできますし!でも今日の私の目標は悠人くんのことを好きになることなので…)
(そんなこと言ってたら私が取っちゃうけど???)
(そ、それはダメです!!!)
何やらこそこそ話しているようだが何の話をしているんだろう
「またやってるよあの二人…」
「ん…、恋する乙女はめんどくさい」
「ほんとそうだなぁ、」
「ん…儁はどっちを応援してるの?」
「俺は旭かなー、幼なじみとして昔っから悠人を支えてるし俺は報われて欲しいと思ってるんだよな…。もちろん結奈も応援したい気持ちもあるぞ?ちなみに春音はどっちなんだ…って聞く必要も無いか」
「うん…、どっちも応援したいってのはあーしも一緒だけど私はやっぱりゆいちゃんかな…、昔からゆいちゃんの事見てたけど異性の友達出来たのほんとに小学校ぶりだし、こんなに気になってる人がいるのも久しぶりだからさ」
「へぇ~、久しぶりだったんだななんか意外だな。っとそれにしてもあの二人まだやってるよ…」
なんか儁たちが呆れた目を向けてきてる気がするな…
さすがに俺もそろそろ止めないとな、
早くアトラクションにも乗りたいし
「ほら二人とも儁と春音があきれたような目で見てるから早く行く場所決めるぞ」
「っとみんなごめん!」
「みなさんごめんなさい!」
と二人が謝りながら俺たちの近くまで戻ってきた
───相談した結果まず後々混雑しそうなフリーフォールから行くことになり、俺たちはその場所へと移動してきた
アトラクションの待ち時間にさっきの懸念点について聞いてみることにした
「そういえば結奈、口調隠さなくても大丈夫なのか?」
「その事については大丈夫ですよー、前にみんなで集まった時にその話はしてあるので!何より望月くんは悠人くんの友達だし、旭ちゃんは幼なじみなので信用できますしね〜」
なんか俺前と違ってめっちゃ信用されてない?
いつの間にこんなに信用されるようになったのかは分からないがちょっと嬉しい
「それならいいんだが」
「うん!心配ありがとね」
(やっぱり悠人くん優しいし、隣にいるとやっぱり安心するなぁ…)
「ほら!次私たちの番だから一緒に乗るよ!」
手を引かれるがまま俺は結奈の隣へと座った
(旭side)
「おい、旭も悠人の隣に座ろうとしなくてもいいのかよ?」
自然に悠人と隣に座ろうとする結奈を見て儁が私にそう言ってきた
「大丈夫~、今日はターン制で隣に座ったり行動したりするって話あってるし、悠人って一回もこういうとこ来たことないから悠人自身が楽しむのが第一優先だってお互い認識してたから、私たち二人でそれを邪魔するわけにはいかないでしょ?」
「ん…、二人とも優しいね…。でも旭ちゃんはそれでいいの?ゆいちゃんにチャンスを与えることになるじゃん…?」
「私はライバルがいないと勇気を出せないポンコツみたいだから逆に今燃えてるのよ」
「なるほどなぁ~、旭がそれでいいならそれでいいんだろうが見ているこっちはちょっと心配になるけどな」
などと話していると
「もう私たちの番だよ~!後ろが使えてるから早く乗って~!!」
はるねが「びくっ」と肩を挙げた気がしたけど多分気のせいかな
という声が聞こえたので私たちはアトラクションへと乗ることにした
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