第20話 絶対に渡したくない…
し、死ぬかと思ったぁぁぁぁぁぁ…
絶叫系のアトラクションってめちゃくちゃ怖いんだな、
でもその恐怖がまたいいと言うか…
一旦落ち着いたのを挟んで次はジェットコースターに乗りたいなー
落として上げるのが一番楽しそうだし
「初フリーフォールどうだった悠人?」
「怖かったけどそのスリルがいいというか…、ジェットコースターにも乗りたいって思えるような楽しさはあったな…、っていうか春音は大丈夫なのかよ」
儁と話しているとどうやら「うぅ…、うぅ…」とうめく春音の声が聞こえてきた
「ううぅ…、怖いのむりぃ」
と青ざめ、体育座りで縮こまる春音
なんか小動物みたいでかわいいな、ギャルだけど
いやギャルだから?
いやこれがギャップ萌えってやつか!!
「はるねちゃん絶叫系苦手だったの!?なんで先に言わないの!」
「うぅ…、だって雰囲気壊すかと思ってぇ、」
「そんなの気にする人いないから、遠慮なく言って欲しかったな、私は」
「そうだぞー、無理に俺らに合わせなくていいからな」
「うん、無理はすんなよ」
「私も気づかなくてごめんねはるね、肩びくってさせてた気がしたけど気のせいだと思っちゃてた」
「みんなありがとう…」
「次春音はどうする、一旦俺は落ち着いたのを挟みたいと思ってるんだが乗るか?」
「…、一回休憩しとく、」
「じゃあ私は残って春音ちゃんの介抱しておくので三人で楽しんできてください」
「俺もちょっと酔ったから春音の介抱してるわ。旭と悠人の二人で楽しんで来いよ~」
そう言うと結奈と儁は春音をベンチへと連れていってあげていた
なんで儁はこっちに向かってグッドラックしてるんだよ
お前はルロイ修道士かよ…
俺もかまじいで対抗するぞ?
「ごめんね…、しゅんとゆいちゃん」
「大丈夫だよ~、私も怖かったし」
(隣に悠人くんがいたから楽しさのほうが勝っちゃってたけど)
「いいぞー、俺もちょっと酔っちゃったし」
三人を見送った後、園内マップを広げ旭に話しかける
「さあ旭は次どこに行きたい?俺は落ち着いてるやつがいいんだが…、っつうか儁も案外絶叫系苦手なんだな、全然顔には出てなかったけど」
「アハハソウダネー」
「おい、なんでカタコト外国人なんだよ」
「うんん、なんでもない!それで?落ち着いてるアトラクションに行きたいんだったっけ?」
何でもないのかよ…
「そうそう、ジェットコースターとかの絶叫系の前に一旦気分を落ち着かせときたくてな、旭が行きたいなら絶叫系のとこでも俺はいいぞ」
「んーそうだね、ゆっくりできるとこ行こっか♡」
ゆっくりできるとこってまさか!
え、えっちなところじゃないよな??
☆☆
俺はとあるアトラクションの前に連れてこられていた
「あ、スカイリフトね。確かにこれならゆっくりできるねうん」
「あれあれ~?なに期待してたの??」
「なんにも期待してないし!」
「ばかだな~悠人は。遊園地にそんなえっちな場所あるわけないじゃん、悠人のえっちぃ」ケタケタ
おもいっきしバレてらぁ
「ほ、ほらもういいから早く乗るぞ、周りの目もあるし…」
「えっ、周りの目がないとこに連れてくの??やぁん、悠人ったら~」
「ちがぁぁぁう!もういいからのるぞ!!!」
「はいは~い」
──────「それにしてもきれいだね!ここからの景色は…」
俺の目にはうっとりと景色に見惚れる旭の横顔が映っていた
「あ、あぁそうだなきれいだな」
それは危うく見とれてしまいそうなくらいきれいな横顔だった
「もぅ、そこは君のほうがきれいだよっていうのが定石だよ~?」
「ん、まぁそうだな風景と相まって横顔はきれいだと思ったよ。風景と相まった横顔がな??」
「そんなに風景と相まった横顔を強調しないでもよくない?素直に喜んでいいのか複雑なんですけど~」
「素直に喜んどけって」
「はいはい、ありがとうありがとう」
「うわぁ、全然うれしそうじゃない」
「あたりまえでしょー??」
「それもそっか」
俺たちは再び見つめあうと「ぷっ」と二人して笑いあった
(やっぱり悠人といると落ち着くな…、絶対結奈に渡したくないなぁ…)
それと同時に旭が俺の腕へと「ぎゅうっ」と強い力で抱き着いてくる
その力には絶対に話したくないという旭の気持ちがこもっていた
当然だが悠人は気付くわけもない
「ど、どうしたんだ旭?」
「ちょっと疲れちゃったから、これが終わるまでこのままでいさせて…」
その言葉通り旭はアトラクションが終わるまでまるでコアラが抱き着いているかのように俺の腕に強くしがみついて離れなかった
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