第14話 悠人の成長



「──────ねぇ、悠人…、いっぱい気持ちいいことしよ…♡」


そう言って、俺の上にまたがってくる旭


俺は反応しないように全精力をもってアレを抑え込みながらも必死に抵抗する。


「ちょ、やめろ!付き合ってもないのにこんなことしたらだめだって!!」


自分の出せる全力をもって押しのけようとしても旭はびくとも動かない

なんだか逆に力が抜けていってるような気もする


「ほんとは期待してるくせにぃ〜///」


旭はつんつんと俺のソレを触りながらぐいぐいと距離を詰めてきた。


「ちょ、ほんとにやめてくれあさひぃぃぃぃ!!!!!!…




ブルル、ブルル


「はぁっ…!!!!」


バッと起き上がり、徐々に意識が戻ってくる。


なんだ…夢か…。


傍らで鳴っているスマホのアラームを止め、ぼーっとしている頭を働かせ布団から起き上がった。


なんて夢で目覚めてしまったんだ、俺は…。


おそらく昨日旭が告白してきたから変に意識してしまっているのだろう。


それにしてもこんな夢見るとは旭に大して失礼だよな…


などと考えながら、一応パンツの中を確認する。


セ、セーフ

危うく社会的尊厳を失うところだったぜ、危ねぇ…



…一応部屋にファ〇リーズをしてから一階に降りることにしよう、、



☆☆



「おはよぉ、おにいちゃん。どったのそんな顔して」


「あぁ、いや、悪夢…では無いか淫夢?をちょっと見ちゃってな…」


「おにぃ、だいぶキモイ…、きもさが顔に出てるから早く顔を洗ってきて。」


冷たい視線を向けられ、すげなくあしらわれてしまった、しかも結構強めの口調で言われた…

妹になら笑い話にできるかなと思っていたのだが、ドン引きされて結構ショックである…


「お、おぅ。悪いな、お兄ちゃんきもくて…。顔洗ってくる」


「いいよー、たまにあることだし。ごはん準備してるあるから早くしないと食べちゃうよ~」


態度を戻した紗雪はそう俺に促してくる


たまにあったのかよ、じゃあその時に言ってくれよ…

ってか、一日の元気の源である朝ごはん食べられる!早く顔洗ってこなければ!



俺は急いで洗面所へと向かった




─────「ところでお兄ちゃんや」


「なんだい?妹よ」


「昨日旭ちゃんと何かあったの?」


朝食を食べていると藪から棒に紗雪がそんなことを聞いてきた


「なんでそう思ったんだ?」


「いや、だって昨日家に帰ってから無駄にそわそわしてたし、何かありましたって顔に出てたからさ」


そんなに顔に出やすいの?俺って

悟られないようにしてたんだけどなぁ、

だてに15年間妹やってきただけはあるな、俺は妹のそういうの一切分からないけど


「そうか、わかっちゃうのか…」


「ほれほれ、何があったんか紗雪に話してみ?」


「うん、まあなんというか、昨日突然告白されたんだよ。旭に」


「ほう。」


「あれ、あんまり驚かないんだな」


「ん、なんとなく旭ちゃんがおにぃに好意を持ってたの気づいてたからね。そのタイミングは突然だったのかもしれないけど前々からいつかしようって思ってたんじゃないかな。それでお兄ちゃんはなんて返したの?」


「今までそんな目で見たことなかったし、そんな雰囲気すら感じてなかったからごめんって言って断った」


「んー、お兄ちゃんが鈍感すぎるだけなんだけどなぁ、人が困ってたりするのはすぐ気づくのに」


「俺ってそんなに鈍感なのか?」


「そんなにじゃなくてめちゃくちゃ」


「ええ、そうなのか…、」


人の感情とか読み取るの結構得意だと思ってたんだけどなー

高1の時国語の成績よかったし、何回かテストで満点とったこともあるし


「それで、お兄ちゃんは何であんなにそわそわしてたの?」


「断ってから「もう好きって伝えちゃったからこれからはグイグイ迫るようにするから悠人も覚悟するようにね!!」って言われちゃてさ、今日からどう接すればいいんだろうって悩んでたんだよ」


「んー、別にお兄ちゃんは変に意識したり対応を変えたりしなくてもいいんじゃない?少なくとも旭ちゃんはそれを望んでないだろうしね。お兄ちゃんはそのままで十分に素敵だから旭さんも好意を寄せてくれてるんだと思うし。あとおにぃ今の全然旭ちゃんの声に似てないからやめて。」


俺の中では一番くらいに自信がある声真似だったんだがな…

練習不足ってことか、もっと練習するために出直してこよっと


それはそうと

そっか、そのままでいいのか…

うじうじどうしようって考えなくてもよかったんだな、


「ありがとうなさゆ。おかげで普通に学校でも振る舞えそうだ」


「いいよ、お兄ちゃん友達いないから相談できる相手私くらいしかいないだろうし」


「失礼な!男友達なら一人いるわ!!」


「それは友達じゃなくてただの友だよお兄ちゃん…」


紗雪はあきれたように言った


「ほかに悩んでることない?なかったらもう家出る支度するよ時間来てるし」

と紗雪は学校に行く身支度を整えるために食器をかたずけようと席を立つ。


「あー、ちょっと待ってくれ。」


「ん?どったの」


「悩んでるって程ではないんだが、おすすめのちゃんとした美容院教えてくれないか?」


「ええええええええ!!!!!!」


おい驚きすぎだろ


「いっつも目の下まで髪伸ばして根暗のようにしてて、1000円カットに行っても切ってもらったか切ってもらってないのかわからなかったあの!お兄ちゃん!がちゃんとした美容院にいきたいだってぇぇぇぇ?どういう心境の変化なの??」


こいつほんとに俺の身内か?

妹か?

さっきから失礼すぎんだろおい。


「そんなに驚くことかよ…。まあなんだ、その、昨日旭から告白されて俺思ったんだよ。俺情けないなって。こんなかわいい子に告白されるならせめて釣り合うくらいまではいかなくとも恥掻かせないくらいにはなっておきたいと思ってな。結奈にも整えたらいい線行けるって言われたし」


「お兄ちゃん…ついにここまで来たんでね…。」グスン


泣くほどなのかよ!!いや実際には泣いてないんだが!


まあ今までそんなことをいちいち考えてなかったし紗雪も紗雪で思うところとかもいっぱいあったんだろうな、「もうちょっと見た目に気をつかってくれないと友達にあれがお兄ちゃんって言うのはずかしいんだけど!」とか。


今まで我慢しててくれてたのかな…


「いいよ、いいよ全然教えてあげる。私がいつも行ってる友達の両親がやってるとこ教えてあげるから放課後にでも行ってきな、お金は持ってるの?」


「2000円くらいなら今財布にあるな。」


「そんなんじゃ足りないと思うから私が5000円あげるからこれで行ってきな」


財布から5000円札を取り出しひらひらさせながらと俺の前に差し出してきた


「いいのか?」


「いいのいいの、お兄ちゃんが変わろうとしてくれてるんだからそれをお金の理由で止めたくないし」


「そうか、それならありがたくもらっておくよ」


「あ、ちなみにトイチね」


「くれるんじゃなかったのかよ!!」


「じょうだんだよ、じょーだん笑全くもうお兄ちゃんは冗談が通じないんだから~そんなことより早く準備して学校いくよ!」


うぜぇ

と思ったが口には出さなかった。


相談にも乗ってくれたし、俺がしようとしてるのを肯定してくれたしな…

むしろ感謝すべきか…


今日の帰りになんかスイーツでも買ってきてあげようかな



「おう、わかった」



俺たちは制服に着替えるなど身支度を整え、学校へと向かった





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