第13話 旭が悠人を好きな理由
「だって私、悠人のことが昔からずっと好きだったんだもん!!!」
は?????????????????????????
いやいやいや、ちょっと待て。
今までそんな素振りあったか???そりゃ昔から一緒にいる時間は多いなとは思ってたけどそれは幼なじみとしてじゃなかったのか???そしてどうして急に告白してきたんだ??様々な疑問が頭の中を駆け巡る。
いやいや、俺が焦ってどうする。
一旦落ち着け、冷静になろう。
「旭も一旦落ち着こうな?ほら、深呼吸」
旭は数回深呼吸をし、落ち着いた様子を見せる。
「ごめん…急に…。」
「大丈夫だ、気にすんな。とりあえずこのお店から出ようか、お店の人に迷惑だし。」
「ありがとう…、うん、そうだね一旦移動しよっか。」
──────俺たちは近くの公園のベンチまで移動してきた。
俺が座った隣に、よっこいしょと腰をかける旭。
彼女は黙ったままこっちを向いている。
んと、俺から話を始めるべきなのか?
「えっと、…その、旭は俺の事を好いてくれてるってことでいいんだよな?」
とりあえず頭の中を整理しよう。
「うん、ずっと昔から大好きだったの…。」
「そうか…。」
「うん…。昔ね、私たちが小学2年生の時、悠人のお父さんが亡くなったことをきっかけに悠人がちょっとやつれてた時期あったじゃない?」
その時はほんとにやつれていた。俺はお父さんっ子でお母さんよりもいっぱいおもちゃとか買ってくれるお父さんに幼い頃はよく懐いていたな…、買い物に連れて行ってもらっては、おもちゃを毎回買って貰って。それをいつも母さんが父さんに怒って、父が叱責されている姿を見て笑っていた俺も母さんに怒られて、泣いて…。当時は、怒る母さんが怖かった思いしか無かったけど、今考えてみるといい思い出だな…。
「あぁ、あったな…。」
「その時、悠人のお母さんと私たち家族が何とか励ますことが出来ないかなって事で川までBBQしに行った時、私が川に流されそうになったことあったでしょ?その時誰よりも真っ先に助けに来てくれた悠人がすごいって思ったの。どんなに自分がしんどい状況にあっても、自分を犠牲にしてまで私を助けてに来てくれた事ほんとに嬉しかった…。」
「あの時は危なかったな〜、まぁ結局助けたのは俺じゃなくて旭のお父さんなんだけどな。」
「ううん、それでも悠人が1番早く見つけてくれたから私は今こうやって生きてるの。単純に命を助けられたからって理由じゃなくて、あの後もずっと声をかけて心配してくれたでしょ?」
「そういうのって当たり前じゃないのか?」
「そういう優しさを当たり前と思えるところが好きなの。」
「そうなのか…。でもごめん、好きって言ってくれることは嬉しいけど、俺は今まで旭のことを恋愛対象として見たことがなかったから付き合ったりすることは出来ない…。」
「うん、分かってた。」
「そうか…、すまんな。」
「ううん。大丈夫!あー、なんかスッキリした!振られるって分かってても告白してよかった!うじうじしてた自分がバカみたい!」
え、告白って振られたら終わりじゃないの?
「もう好きって伝えちゃったからこれからはグイグイ迫るようにするから悠人も覚悟するようにね!!」
「お、おう…。」
俺の理性がもつか心配なんだが…。
「今日はもう帰ろっか、もう買い物する気分でもないし!ほら悠人帰るよ!」
ぐいーーっと強く腕を引っ張られ、それにつられて俺は立ち上がった。
「分かってるから、そんなに強く腕を引っ張らないでくれ!腕がちぎれちゃうから!」
「あははは笑笑笑」
サイコパスかよこいつ。
旭はそのまま俺の腕を近くによせ、胸を押し当てるように抱きついてきた。
んおっっっっ
あたってる!あたってるから!
当ててんのよ?
こいつ!俺の脳内に直接ッッッ!
「ていうか結局なんで急に告白してきたんだ?」
そこが1番の疑問だった。
焦る要素が俺には全くもって理解できない。
「んー、内緒!」
(結奈ちゃんが好きになるのも時間の問題だと思うから、私は絶対敵に塩を送るようなことはしないもん。結奈ちゃん、早くしないと私にとられちゃうよ?)
今日だけで2回も内緒って言われた…、信用されてないのかな俺…。
家に帰るまでずっと旭に抱きつかれる俺であった
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