第2話 隣に美少女


「なんだあの人だかり…」


「ほんと人気だね〜冷たくあしらわれるだけなのに良くやるよあの男子共」


「他学年の生徒までいるじゃねぇか。どれだけ人気あるんだよ…」


旭に半ば強引に連れられるように入った教室には既にある人を中心に人だかりができており、何やらわいわいがやがやと騒がしい様子だった。


こんな人だかりを作れるのはこの学校で一人しかいない。


腰まで伸びた艶やかな黒髪、その身長170cmにはあまりにもそぐわない小顔、出るとこはしっかり出ているスタイル抜群お姉さん。

芹沢せりざわ 結奈ゆいなその人である。

しかも異性に対しては冷たい態度で振る舞うツンツン適性持ちというおまけ付きだ。


風の噂によると、推定カップはEらしく頭身は8頭身あるらしい。


誰だよそんな噂流してるやつ…絶対本人嫌がるだろ、


そんなんだから冷たく接されるのでは?と思うが、わざわざ冷たく扱われたいがために話しかけに行く特殊癖な人もいるようだ。


尊敬と畏敬の念を込めてそういった輩を特殊癖パイセンと呼ぶことにしよう。


他意はない


べ、べつに自分もちょっと冷たくあしらわれてみたいとかいう気持ちがある訳じゃないからね?

ほんとだよ?



もう一度言おう他意はない



そうこう言っているうちに担当の先生がやってきた。


「騒がしいぞお前ら、席に着け。委員会を始める。」


教室全体に緊張が走り、一斉に各々の荷物を置いている席へと戻っていく。


生徒たち全員が座ったのを確認し、話を続けた。


「みんなも知っていると思うがこの学校には月に一回挨拶週間をするという伝統がある。そこで君たちには同学年でグループを作って当番制で校門に立ち、挨拶をしてもらう。一学年七クラスずつで各学年七人ずつに別れてもらうことになるから全部で六組できることになるな。初回は要領を得るために全員で行うが次回からは、二年、三年、一年という順番で3ヶ月ごとにルーティーンで行ってもらう。一年はまだ学校生活に慣れていないので最後にやってもらうことにする。というわけで今から左から三、二、一年生になるように座りなおしてくれ。」


みんながそそくさと移動し始める。


いくら四十人程度の人しかいないと言ってもこの狭い教室で全員が一斉に動くと身動きが取りにくくなるな…

落ち着くのを待ってから移動した方が良さそうだ。


俺が動かずに席で待っていると旭が声をかけてきた。


「あれ、悠人移動しようよ〜。」


「混雑を避けるためにあとから移動するから先行ってていいぞ。」


「そっかわかった…、やっぱり優しいね悠人は。」


旭は柔和な顔で俺に笑いかけ、後ろの方の席へと移動していく。


俺が優しい?人混みにまみれたくないだけなんだが…


人の移動が落ち着き始めたころ中央の列へと向かう。案の定後ろの席は埋まっており、残りは前の席しか残っていなかった。


やっぱり前の席しか空いてないか…


しぶしぶ一番前の空いている席へと座る。


先生が議会の進行を開始するのを待っていると、横目に隣に座る人の影が写った。


今移動してきたのか?

俺と同じ思考回路のやつがいたとは驚きだな。

類は友を呼ぶと言うがこういうことか。

どんな人が来たのだろうか。



純粋な疑問を解決するため、横に目を向けるとそこに居たのはなんと学年一のツンツンクール系美少女 芹沢 結奈だった。



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