最終話 笑顔を作る力
夕暮れ時の公園。
まっすんはベンチに座って、ぼんやりとギターをつま弾いている。
スマイル神は隣に立って、いつものように明るい笑顔を見せているが、どこか寂しそうな雰囲気が漂っている。
「なぁ、スマイル神。なんだか最近、お前が少し遠く感じるんだよな…お前、どこか行くのか?」
スマイル神は少し困った顔をしながら、
「…そうだな、そろそろお別れの時が来たみたいだな。まっすん、お前も立派にロックンロールをやり遂げたし、俺の出番も終わりかなって」
まっすんは驚いて顔を上げる。
「えっ、マジで!?俺、まだお前と一緒にバカやってたいんだけど…」
スマイル神は肩をすくめて笑いながら、
「そりゃ嬉しいけどな、いつまでも俺に頼ってちゃダメだろ?お前にはもう、自分で笑顔を作る力があるんだよ。だから、俺は次のやつを笑顔にしに行くんだ」
「いや、俺が笑顔なんて…まだ無理かもしれないし」
スマイル神はまっすんの頭を小突く。
「おいおい、どんだけライブで笑顔振りまいてんだよ!ステージの上であんだけ楽しそうに歌って踊ってんのに、まだ自信ないのか?お前なら大丈夫さ」
まっすんは少し黙って、しんみりとギターを弾き続ける。
夕焼けが2人を染め、静かな時間が流れる。
「お前がいなくなるの、なんか寂しいな…」
「俺だって、ちょっと寂しいよ。でもな、まっすん。お別れってのは、楽しい思い出があるからこそ寂しいんだ。それがいいんだよ。そういうのもロックンロールってやつさ」
「お前、いつも無責任に楽しいこと言ってばっかりだな。でも…ありがとな」
スマイル神は明るく微笑んで、まっすんの肩をポンと叩く。
「うん、ありがとな!お前との時間、俺も最高に楽しかったぜ!それに、お前がロックンロールで日本中を笑顔にしてくれたから、俺の仕事も楽だったってもんだ」
スマイル神が大きく伸びをして、歩き出す準備をする。
くっすんは名残惜しそうに彼を見つめる。
「もしまたバンドがダメになったら、すぐ呼ぶからな。そのときは戻ってこいよ」
スマイル神は振り返ってウィンクしながら、
「あんまり呼ぶなよ、忙しいんだから!」
スマイル神が笑いながら軽やかに去っていく。
夕陽の中にその姿が徐々に消えていく。
まっすんは少し寂しそうに見送りながら、またギターを弾き始める。
そして、遠くからスマイル神の声が聞こえる。
「笑えよ、まっすん!お前の笑顔で、世界をもっとハッピーにしてやれ!」
くっすんは顔を上げて少し笑いながら、
「ワッハッハ…分かってるよ」
ギターの音色が少し明るくなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます