第2話 奇妙なコンビ
まっすんは居酒屋のカウンターに座り、スマイル神と名乗る男と並んでいる。
男の両手にはカラフルなビーズのブレスレットやリングを付けていて、手を動かすたびにカラカラと音がする。
「で、お前、どこの神様だよ?そもそも、何の神様なんだ?」
ビールをあおりながら不機嫌そうに言う。
「俺か?俺は福笑いの神、スマイル神だ!何度も言わせるな。笑顔を届けるのが俺の仕事。まあ、堅苦しいのは抜きにして、楽しく生きようぜ!」
「福笑いの神…?俺、深刻な問題抱えてんだけど」
「深刻な問題に対して深刻な顔をしてても、何も変わらんさ!まずは笑うことが一番。お前、最近ちゃんと笑ったか?」
「笑う余裕なんかあるかよ。仕事はきついし金もないし、家もボロだし…」
まっすんはため息混じりにこぼす。
「よし、まずは笑いの力で運を引き寄せるぞ!明日、朝から大きな声で『ワッハッハ!』と笑いながら歩いてみろ。それだけで世界が変わるぜ!」
丸顔の男は屈託ない笑みを浮かべている。目は大きく、笑うと目じりが下がる。
まっすんは呆れたような表情を作り、ジョッキを激しく傾ける。
「何だよそれ…朝っぱらから笑いながら歩けって?近所の人、引くだろ…」
スマイル神はいたずらっぽくウィンクして、
「いやいや、周りも笑顔にしちゃえば勝ちだ!ついでに、ちょっとダンスでも踊ってみたら完璧だな!」
「おい、ちょっと待て、何で急にダンスまで入ってんだよ」
スマイル神は陽気に手を叩きながら「笑いとリズムは人生の基本さ!ま、やってみりゃわかるさ。明日の朝、お前の運命が変わるかもしれないぞ?」
声は大きくて明るく、周囲を楽しい気分にさせるトーン。
ズバズバとうざいことを言ってくるのに不思議と嫌な感じはしない。
まっすんは考え込みながら、
「…ほんとに大丈夫かよ?ま、試してみるか。どうせ他にやることもないしな」
「その調子!笑いながら運をつかめ、まっすん!俺がついてるぜ!」
スマイル神は朗らかに笑う。
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