第三章

難病クローン病

第4話

アキラは、天海総合病院に着くと血便したことなど最近の状況を説明した。

緊急外来の先生にお尻の穴に指を突っ込まれた。

「確かに」と先生は言っていた気がする。

きっと手袋の指部分に血が付いたのだろう。

貧血のせいか仕事をやりきれなかった無念さが頭にあるせいか、あまりこのときのことは覚えていない。


いつの間にか入院が決まっていて、アキラはストレチャーで病室に運ばれた。

原因不明の出血のため水すら飲むことは許されず、うがいだけが許可された。

相当疲れていたのだろう、その日はぐっすり眠れた。

入院は高校時代、親知らずを抜くためにして以来二回目、初めての緊急入院。


そのときのアキラには、まだ血便の怖さは全くわかっていなかった。

もちろんこれから起こる悲劇の連続も・・・

何も知らなくて逆に落ち着けたのかもしれない。

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