第3話
午後になり相変わらず腹痛が何度も襲ってきた。
どうしても我慢できなくなった。
あと二時間ちょっとで休日なのに・・・
新人で気の弱いアキラだが、勇気を出して上司に言った。
「トイレ行ってきます」
精一杯の痛そうな顔を作った。
実際相当痛かったのだが・・・
そしてアキラは大量の血をトイレに流したのである。
その後、おそらく貧血だろう。アキラは倒れた。
慌ててやってきた飯田課長が目覚めたアキラに家族に連絡するようにいった。
意識が朦朧とする中、携帯の電話帳で母親である井上絵美の名前を探した。
エミは家にいるようで倒れたことを話し迎えに来てもらうよう頼んだ。
エミはアキラの体調を前から知っていたせいか、電話越しではあるが落ち着きが感じられた。
現場が騒がしかったからそう感じたのかもしれない。
アキラは休憩室に付き添われエミが来るのを待った。
エミは会社に来るのが初めてだったので予想より時間がかかった。
着いたという連絡があったので飯田課長と共に車に向かった。
飯田課長は「お大事に」という軽いコメントのみだった。
その後、家の近くの天海総合病院に行き、入院することになった。
最後まで仕事をやり切れない悔しさが残った。
この屈辱感久しぶりだ。
アキラは真面目で負けず嫌い。
執念が足りなかったのかもしれない。
これが血便前後の詳細。
あとからある先輩社員に聞いたのだが「普通あの状況なら救急車を呼ぶぞ。この会社は近所の評判を気にするからな」とのこと。
救急車が来る工場なんて確かに危ない・・・所詮、会社にとってアキラはアリみたいな存在。いないも同然。
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