第二章
血便までの執念と無念
第2話
4月24日
朝七時、アキラはいつものように家を出た。
今日は金曜日、明日になれば休みだ。
さらに、あと一週間でゴールデンウィークである。
二週間の泊り込みの新入社員研修を終え、工場で現場研修が始まって約一週間が経っていた。
十日ほど前から腹痛があり、連日の立ち仕事でここ二、三日は足がむくんでいた。
口内炎といぼ痔みたいなのもあった。
また、37℃ほどの微熱も続いていた。
腹痛は腹巻で軽減させた。
夜には足にシップを貼っていたが、足のほうは限界に近づいていた。
しかし、入社して一ヶ月も経たないアキラには休むという選択肢は頭になかった。
また、この状況が続き慣れたせいか、これが普通だと錯覚していた。
休みまではなんとかなると思っていた。
始業前の7時50分、ラジオ体操が始まった。
足が痛くてジャンプが背伸びになっていた。
ある上司には歩き方がおかしく顔色が悪いと言われた。
でも同期のぷっちょには、特におかしくないと言われたので気にしなかった。
ぷっちょは二週間の泊り込みの研修で隣の寝床で一番一緒にいたやつ。
中学のとき、ぷっちょばかり食べててあだ名が付いたらしい。ポッチャリ体系。
この日の仕事は運よく座ってできる簡単な仕事だった。
しかし、動かず外でやっているせいか、お腹が冷えていつもより腹痛のほうが頻繁に襲ってきた。
ガスを出そうとしたとき不覚にも身を出してしまった。
お尻が冷たく気持ち悪かったので、ポケットティッシュでこっそり拭くことにした。
そのティッシュは赤に染まっていた。
慌ててポケットにしまい仕事を再開した。
びっくりしたがそのときお尻にはイボ痔みたいなものがあったので、痔だから出血したのだと考えることにした。
午前中の仕事はなんとか乗り切った。あと半日で休みだ。
昼休み、ぷっちょが「同期で、盲腸で入院している人がいる」といった。
やっぱり研修とかでストレスが多かったんだなと思った。
だが完全に他人事で、22年間健康に育ったアキラは完全に関係ない話だと思った。
「俺さ、さっきケツから血が出たんやて、やばいかな・・・たぶん痔やと思うんやけどな」
アキラは笑いながら言った。
このあと起こる悲劇を、ぷっちょはもちろん、アキラですら全く知る由はなかった。
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