第3話:魔女とは・・・。

今のところ表面上では世界は平和・・・裏では戦争に武器の取引とか薬の取引とか

人身売買に売春・・・。

この世に人類がいるかぎり犯罪は減らない、男と女がいる限り金のトラブルと

性犯罪も減らない・・・。


だけどそんなことなど俺んちの魔女は興味ない・・・よほど世界を震撼させる

出来事でもない限り俺んちの魔女は動かない。

体も能力も鈍るんじゃないかって思うけど、体は体色が悪いだけで相変わらず

はちきれんばかりのナイスバディー。


性格は最悪なんだろうけど制御チップが効いてるから、まだ穏やか・・それでも

猟奇的だし喜怒哀楽が激しい・・・その日によってツンかデレか違うから

かまえていないと肩透かしを食らう。


時々ベランダにいるから、なにやってんだろうって覗いたらベランダにやって来る

黒いノラ猫とよく話をしている。

猫と話せるのかって思ってたらベランダにやって来るノラちゃんは、どうやらエウリの使い魔らしい。

外に出ないエウリのために世情を彼女に伝えに来てるのだ。


でもって普通なら朝は女のほうが先に起きて男はいつまでも布団から出ないって

パターンが一般的なんだろうけど、俺んちは逆。

そもそもエウリは料理がまったくできないから独身生活してた俺が作る。


だから朝は俺が先に起きてエウリを起こすってことになる。

だけどこれがまた起きない。


「エウリ、起きろ〜・・・お〜き〜ろ〜朝だぞ〜」


「うふ〜ん・・・ヤだ」


天邪鬼でもある。


「ねえ、ハグして?そした起きるかも〜・・・」


って言うからハグしてやる・・・まあ俺はエウリを抱けるから嫌じゃない。

だから喜んでハグしてやる・・・それでもまだ起きない。


「次はチューかも〜」


って言うからチューしてやる・・・まあ俺はエウリとキスできるから嫌じゃない。

だから喜んでキスしてやる・・・それでも結局起きない。

だから身体中くすぐってやる。

ゲタゲタ笑い転げて、さすがにこれは耐えられないらしく、しぶしぶ起きる。

起きたあとでふくれっ面をして俺を睨む。


「そんなふくれっ面してたらブスになるぞ」


ようやく起きたエウリ・・・キッチンテーブルの椅子に腰掛けてなにもしない。

顔を洗わないし歯も磨かない・・・。

「顔を洗って歯も磨かないとハグもチューもしないからな」って言うとブス〜ッと

して洗面所に行って顔を洗って歯も磨いてキッチンに戻ってくる。


魔女は基本的に食事をしなくても平気みたいだけど美貌や体型を維持するためには

栄養は必要なんだろう・・・だからエウリは朝食は好んで食べる。


トーストにブル〜ベリージャムを塗ってやる。

あとホーヒーにフライドエッグにベーコン。

食べないって割に食欲は旺盛・・・トーストに塗ったブルーべりジャムの果実を

ぼろぼろ落としながら・・・それを見てケタケタ笑いながら・・・。


俺の仕事が休みの時はヒマを持て余すエウリを連れてスーパーに買い物に行く。

最初の頃はスーパーの客やレジのおばさんがエウリを見て驚く。

顔色がすこぶる悪いからね。


だから、誰かに聞かれたり変な目で見らてたらコスプレだって誤魔化せって言って

ある。

昔ならコスプレなんてワードすらなかった頃もあったらしいが、今やコスプレ

は世界的文化・・・まず知らないやつはいないからな。

いっそコスプレイベントにエウリを連れて行こうかって思うくらいだ。

コスプレなんかしなくても、そのままで充分イケるからな。

エウリは絶対イベント会場でオタクやカメコにウケるって自信はある。


で、そろそろ制御チップ交換の時期が来てると思ってエウリをラボに連れて

行こうと思ったら・・・


「チップなんてとっくに壊れてるし・・・」

「制御チップ壊れてるんだって・・・壊れれたらコントロールしてる意味ない

じゃないかよ」

「ま、まじでか?・・・なんで壊れてるって分かるんだよ」


「私、身体中に魔力みなぎってるもん・・・なんでもいいから壊したい」

「だけど、そこは自分で制御してるの・・・」


「偉いじゃないか・・・でもなんで?制御する理由あるのか?」


「レノのこと好きだから・・・私が暴れたらレノに迷惑かかるし、レノに嫌われたく

ないから・・・だから自分で制御してるの」


ううぇ〜完全に告っちゃってるよ・・・俺のこと好きって?

俺のことが好きってことで自分を制御してるんだ・・・俺の責任重大。


だったらもし俺がエウリを怒らせたり裏切ったり浮気したりしたら・・・俺は世界

もろともエウリに消されるな・・・。


つづく。






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