第2話

僕の手元に、するりと鍵が流れ落ちてきた。


「あっ、ありがとうございますっ....。」


僕は鍵が自分のてのひらに食い込むまでぎゅっと握りしめる。この鍵があれば、あの部屋の中を見ることが可能になるのだろうか?


最初はただの、好奇心だった。もしかしたらの話だけど、宝物があるかな?なんて思いながらドアノブに手をかけただけだったんだ。


今度こそ、なんて思いながら鍵を使い、ドアノブに手を触れた時、少し違和感があった。


「....?錆びてない....?」


祖父は前々からこの部屋に入るな。と言い続け、彼がこの部屋に入っていくのを僕は一度も見たことがなかった。それなのに、このドアは少しも錆びておらず最近も誰かが入ったような痕跡が残されていた。


ガチャガチャと大きな音をたてて扉は開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る