第5話

「それで、ここは公爵家の肖像画が飾られている場所です。」


肖像画......。公爵様のもあるのかしら.....?


「公爵様の奥様と、娘様のもございます。」


奥様と、娘様.....?公爵様には奥さんと娘さんがいた.....?でも、私は見たことがない。それに、なんで娘がいるのに私を引き取ってくれたのか....。

娘がいるのなら、私は叔母様の家に居たとき以上に邪魔ものになってしまうのではないか....?


「今、その奥様と娘様は.....?」


テアは少し躊躇うようにしてから、一息ついて語り始めた。


「奥様はとてもお美しい方でした。この帝国の“女神”。そして娘様は、公爵様によく似た御方でした。美しい黒髪に、黒の瞳。それはもう、まるで公女様のように。」


女神....?私ですらも一度は聞いたことがある。女神は、神から愛された存在のこと。神に愛されたがために、どんな力をも自由自在に扱える....。そんな超人間だ

そして....もし公爵様の娘が私と姿が似ているのなら、私なんか本当に価値がなくなって要らない存在になってしまうんじゃ.....?


「公爵様は、誰よりもお二方を深く、深く、は愛していました。彼女たちのためなら命をも投げ出す覚悟で。」


深く、深く、愛して......?


「それでも、奥様は“女神”だったが故に皇帝にめをつけられてしまいました。皇帝側もそばに神に愛された存在さえいれば、なんだって自分の思い通りにしてもらえる。そんな醜い考えを持っていたんじゃないでしょうか。だから、奥様は身を隠すことにしたのです。」


帝国から、見つからないように.....?


「この帝国から逃れようとしました。それでもやっぱり上手くいかないものなのです。奥様は今、長い長い眠りについています。」


テアは心から悲しそうな顔を浮かべた。奥さんはきっと、亡くなってしまったのだろうか、?


「それでもきっと女神の奥様ならきっとある日突然目覚めるでしょう。そして、次に娘様のお話ですが、」


私と似ているという、娘さんのお話...。

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