第4話

「ほら、公女様見てください。」


テアがそっと私の髪の毛に触れ、軽く白い薔薇をあしらった。

白い薔薇。真っ黒な私には白が似合わないと言われ続けていたのに。

この“私の部屋”は白と黒で統一されていた。


「私にもこんな美しい白色はくしょくが似合いますか、?」


何色にも染まらないであろう白色と、何色にも染まることができない黒。

テアが私の手に軽く触れる。


「公女様にはよく似合いますよ。それでは、公爵低を見て回りましょうか、?」


テアが私の手を引っ張ってくれた。


「ここが公爵様のお部屋で、」


とても広い廊下。たくさんの部屋がそこに並んでいた。

廊下にはそれぞれ白と黒の薔薇が交差して並んでいて、とても美しい光景だった。


「公爵様の...お部屋...」


私が最初に案内された部屋。


「公爵様はとても几帳面な御方なので誰1人として部屋に連れ込まないんです。公女様は、そんな公爵様に認められているんですよ。」


認められてる...。こんな、私が...?


「公爵様はどうしてこんな私を選んでくれたのでしょうか、?」


“悪魔の子”と叔母様に言われている私だから?まさか親近感をもってもらえて、?

それとも、私を早く売りたかった叔母様に無理矢理私を買わされて...?


「うぅ..ん。」


テアは戸惑いを隠せないとでも言うような表情を浮かべた。

テアは戸惑う顔すらもが美しかった。


「きっと、公女様に“運命”でも感じたんじゃないでしょうか?公女様はとても素敵な御方なので。」


テアはなにかを隠すようにして笑顔を向けた。


「親が誰なのかもわからない、私なんかに.....?」


身寄りがよく知れない私なんかを養ったとしても、きっとみかえりなんてないだろうに。

テアはさっきよりも驚いたような表情をみせて、


「公爵様は必ず公女様のお父様を見つけてくださりますよ。」


テアは言い切った。いったいなにをもってしてそんなことを言い切れるかだなんて知り得ない。

でも、私もあの公爵様なら信じられるような気がした。

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