第3話

「公女様の髪の毛はとてもお美しいですね。」


私は気がつけば身なりを整えられていた。“リーティア・ルーテ”可愛らしい名前をした私の専属メイドだ。

リーティアは私の髪の毛を撫でるように整えていく。さらりさらりとなびく私の髪の毛。


「ありがとう、リーティアさ...、リーティア。」


本来雇い主と同等の立場にあるはずの私はリーティアに敬語を使う必要はないのだ。

ここは“公爵様の家”で、私は“公爵様の娘”なのだから。


「ふふっ、公女様。私のことはテアとでもお呼びください。」


テア....。今まで私はメイドと敬称等で呼び会うなんてことは一度もなかった...。

嬉しい、なぁ。


「テア...。はい、わかりました...!」


私の後ろにいるテアは私の目の前にあるドレッサー越しに映る。

さらさらとした美しい銀髪に、まるで水晶のように青色の瞳。


「公女様はなんだってよく似合いますね。」


テアは私の身なりを丁寧に整えていく。この公爵家にいるための衣装なのだから、ここまで豪華にする必要はないだろうに、


「そんな、それにこの服の布質....。すごい高いものじゃないですか....。私なんかには勿体ない代物ですよ....。」


本当の娘ではないはずの私になんか...。それに公爵様は今私の実のお父様を探しているのに...。


「そんなこと言わないでください。公女様。これは公爵様が公女様のために一から揃えたものなんですよ。」


公爵様が、こんな私のために...。“悪魔の子”の、私のためにっ.....?

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