第2話

「ほら、白鷺さん見てみて、」


まるで鈴の音のような黒川君の美しく透き通る声。黒川君はゆっくりと自分のコートの袖元から杖を取り出して見せた。つやつやと黒川君の瞳のように輝く杖。


「はっ...はい!」


黒川君の杖先からはキラキラと雷光が輝く。


「わっ...わぁ!凄い!!!!」


ぱちぱちと儚げな音色を奏でて美しく散る雷。本当に、美しかった。


「白鷺さんはこんなことで喜んでくれるんだね、」


黒川君はまるで童話に出てくる王子様のように僕に優しく微笑んだ。


「白鷺さん、ほら少しこっちにおいで。」


僕はそのまま黒川君へと身を委ねた。ふわりと香る甘い黒川君の香り。


「ほら、こうやって杖を握って、想いをこめるんだ、。」


想いを、こめる.....。僕はしっかりと杖を握りしめ、強く、強く想いをこめた。


「ほら、肩の力をぬいて、魔力を一辺に集中させて、絡まった糸を解くように、繊細に。」


黒川君の優しく、甘ったるい声。


「糸を、解くように.....、」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る