君に幸せの魔法をかけて。
@Kisaki_0924
第1話
ここは魔力の量や、どれだけ魔法が器用に使えるかが重視される世界。そんな世界で僕、
「あぁっ.....。今日もまた失敗.....。」
杖の先端からは、もくもくと煙が出ているだけだった。
何をやっても失敗、失敗、失敗ばかりの毎日。魔力量が多いからという理由でなんとかこの学園に残してもらっているけれど、流石にもうそろそろ申し訳ないし.....。
「.....。白鷺さん?」
教室のドアの奥の方から聞こえてくる、少し低い声。.....もしかして僕が放課後教室で魔法の練習してるの、バレた........?
「えっ......あっ.....あぅ....。」
僕が思わずうろたえながら机に杖を叩きつけて後ろを振り返ると、ウチのクラス一優秀な
「あっ.....あのっ.....」
どうしよう、こんなところを見られるの恥ずかしいっ.....。
「白鷺さん、もしかして練習してた?それなら邪魔しちゃってごめんね、」
黒川君はそのまま出て行こうとしている。
さらりさらりとなびく黒川君の髪の毛。.....。別に黒川君が悪いわけじゃないのにっ.....。
それに、出来ることなら優秀な黒川君に教えてもらいたいって思ってるし.....。でも今の僕にはそんなことできないし.....。
僕は何も言わずに、いや何も言えずにいた。やっぱり、黒川君みたいに優秀な人は、僕の頼みなんて聞いてくれるわけないだろうし....。
僕は自分の手を引っ込めて黒川くんが去っていくのをただ見ていた。
その瞬間、『バチバチッ』と音がして僕の杖が閃光を放つ。
「ああっ.....。」
やばい....。本当にどうしよう....。ただでさえ僕は役に立たないっていうのに、このまま教室を爆破なんてしたら退学になっちゃう.....。それに、何より黒川君も危ないっ.....。
僕は咄嗟に自分の杖に触れる。
「ううっ、いったぁ.......」
びりびりと手に衝撃が走る。あぁ、雷の魔法を練習していたからだ.....。
「白鷺さん?大丈夫っ?」
気づいた時には黒川君は僕の後ろにいてくれた。
手に走っていた衝撃はぴりぴりと少しずつ軽くなっていく。そして、僕の目の前で黒川君の髪の毛がたおやかになびいている。
「よし、これでもう大丈夫だよ。」
黒川くんはやっぱりすごい.....。
「あっ.....。ほんっとうにごめんなさいっ....!!黒川君っ.....。」
僕がおどおどしながら黒川君にそう言うと、黒川君はふふっと笑ってみせた。
「白鷺さん、もしかして魔力を扱うの苦手だったりする?」
うっ.....。図星だっ.....。隠してるつもりなんだけど、黒川君にはバレちゃうかぁ、
「白鷺さんは魔力量が多いんだからきっと難しいんだろうね、」
黒川君はそんなこともわかるんだ.....。
黒川君は優しく僕に語りかける。サラサラの髪の毛に、キレ長の少し目つきが悪い美しい瞳がよく映えた。
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