第4話
シロエは私の回答をこころまちにしているようだった。
「私、私はっ、」
がしゃんっと窓ガラスが割れる音がする。
私の声を遮って、私たちシュガー公爵家の馬車は襲撃にあったようだった。
私が慌てて目の前に座っていたシロエに目を向ければ、シロエは額あたりから頬にかけてガラスの破片が通っていったようで、
ぽたぽたと血液を垂れ流していた。
「クロエお姉様っ.........。」
シロエが辛そうに私の名前を呼びながら軽くうめく。
ヴァンパイアは、ニセモノでもある程度の力を使える。
それは、人間とは桁違いの並外れた回復能力。そして、一定の年齢を過ぎた頃から、老化しなくなるのだ。
それでも死にはするのだけれど。
もし私がニセモノでも、仮にニセモノの聖女だったら、聖女の治癒効果で助けられたのに。
いや、シロエが本物ならすぐに治るか。
なんてことを考えていたら、シロエの傷はあっという間になおっていた。
「クロエお姉様、いったいなにが、?」
シロエが私に問いかける。
「きっと最近多発している盗賊団がお金を持っていそうな私たちに目をつけたのよ。でも、大丈夫よ。公爵低までもう少しだから。」
きっとシロエが本物で間違いないのだろう。そんな風に私は思ってしまった。
そもそもヴァンパイアというのは、シュガー公爵家の呪いから生まれた人間なのだ。
シュガー公爵家の人間は、神と契約したのだ。力がほしい。と、滑稽なものに、ただ醜く欲望にまみれて。
だからこそこの帝国の兵器にもなりゆる、ヴァンパイアが生まれる。
そして、今回は神との一番大切な契約をした、10代目なのだ。
10代目は、他のヴァンパイアとは比べ物にはならない能力を持っている。
不老不死。ただでさえ自分の血液を巧みに操るもっとも敵にしたくない生物とさえ思われているヴァンパイアに、不死が加わってしまうのだ。
その、10代目が、まさかのニセモノ付で。
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