第3話

ニセモノの存在がこの帝国に悪影響を及ぼす可能性が少なからずともあるのだから、私はここまで必死になっているのに。

ニセモノとは、この世にいてはならぬ存在、いわば人形ヒトガタの呪いのようなものなのだ。

ソレが存在する限りは、聖女や本物のヴァンパイアの力を合わせたとしてもこの帝国の滅亡は免れまい。

どすぐろく紫色をしている空が私の不安を加速させた。


「クロエお姉様ぁ!ご覧になってください!このオルゴールかっちゃいましたぁ!!!!!」


キラキラと金色をまとった天使のオルゴールをシロエは私に見せた。


「まぁ、とても綺麗ね.....!」


馬車のなかでもきゃっきゃとはしゃぐシロエ。

私には彼女がニセモノだとは、少なくとも思えなかった。

...........きっと私がニセモノなのだろうか、

私がニセモノならこの帝国に存在してはならない。ニセモノは本物が現れたときに皇家へと引き渡されて、

然るべき処置、浄化をうけるのだ。

私から見ればシロエが本物だというのはもうほとんど確定事項だ。

なら、シロエが本物だと証明されるよりも前に私が浄化されにいった方がよいのではないだろうか。

そうすれば、帝国の危機からすぐに逃れられるはずだ。

私がぼーっとしているとシロエはにこにこと笑ったまま口を開いた。


「クロエお姉様!クロエお姉様はどっちが“ニセモノ”だと思いますか?」


シロエは私に対して変わらずの曇りなきまなこを向ける。

こんなにも明るいシロエがニセモノだなんてこと、あるはずがないのだ。

なら、やっぱり、

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