第21話 誰かの神様

「私はその子を神さまだと思ってるんです」

 テディちゃんは変わった子だ。

 生粋のロリ、ショタコンだし、定期テストの点数は数学以外9割で、数学1割だし、可愛いものが大好きで、私が一ヶ月ほど前に何気なくあげたクマのシールを今でもスマホケースに貼っている。

 また変なことを言い始めたと思った。

「中学の時同じクラスで、高校は離れちゃいましたけど、今でも朝晩その子にお祈りしてるんです」

「すごいなその子」

「カリスマ性やば」

「イスラムに近い…」

 テディちゃんの書いている小説は、ファッションと真逆の、難解で、暗い、淀んだものだった。

「その子のおかげで自殺もやめたし、今ここにいるんです」

 あの小説を私は読めなかったかもしれないのか。

「ガチの神さまじゃん」

「その子がいてよかった」


「俺もなりてーなー神さま」

 ブロッコリー先輩が呟いた。


「人間誰でも誰かの神さまになれるんですよ」


 テディちゃんのその何気ない一言は、夕日に照らされていた。私は、何か、神聖な瞬間に立ち会ってしまったような気がした。

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