第39話

「どうして、急にそんなことを.....」


先輩の驚いた顔。

それはもう、美しかった。

サラサラとなびく水色の髪の毛にまるで琥珀のように、宝石のように、美しく儚く先輩の瞳が照り輝く。


「先輩、僕は先輩に”幸せ”になってほしいんですよ。」


こんなこと、本当は思っていないのに。

先輩ら幸せなんかより、もっと別の感情がよく似合う。


「.....先輩、いいじゃないですか。彼女を逃したって。先輩は彼女が”好き”なんだから。彼女を逃して先輩と一緒に仕事ができなくなったら、そりゃあ悲しいですけどね。」


僕はここまでどれほどの嘘を重ねたのだろうか。

”人魚”だなんて生き物に人生を振り回される先輩を見て、僕はそう思った。



「よくやったね!アオバっ!」


クソ店長は嬉しそうだ。

このクソ店長は一体その後の先輩に何をするのか。

......きっと神は僕に味方をしてくれないだろう。

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