第28話

先輩の美しい、赤とオレンジと黄が混ざってまるで形容詞がたいほどに美しい瞳。その瞳が今は先輩の涙で満たされてつやつやと光を放っていた。

まるで、宝石のような瞳。いや、僕が今まで見たどの宝石よりも美しい先輩の瞳。


「宝石......。」


僕の口から小さくこぼれ落ちたひとつの単語。もっと上手い言葉で言い表せるはずなのに僕の今の

語彙ではこれが限界だった。

先輩はそっと驚いたような顔を浮かべてそれらをすべて誤魔化すかのように口を開いた。


「手当て、僕がしてあげるね。」


先輩は聞こえなかったフリでもしているのだろうか。

後味の悪そうな表情を浮かべて僕を椅子に座らせて、

先輩は僕の正面へと座った。先輩は真っ黒い、まさに漆黒と言うにふさわしいほどの色をしたレースの手袋をつけたままいくつかの瓶らしきものの蓋を開けた。

だけど、先輩の力だとやはり難しいようでてこずっているみたいだった。

先輩はなんとか瓶の蓋を開けようと頑張っている

僕は言うべきか迷った。“それ、まわすんじゃなくって、持ち上げるんですよ。”と、

先輩はずっとずっと頑張ってまわそうとしている。

.......。そんな先輩のしぐさも僕にはなによりも可愛らしく見えた。

完璧な先輩がこんなことをするのは珍しい。僕の前だから気を抜いて見せてくれる姿。

そんな風に考えてもいいんじゃないだろうか、


「んんっ......開かないなぁ、」


先輩は軽く嘆いた。

そりゃあ開くはずもないだろう。

僕はあえて先輩の手に触れるようにして瓶の蓋を開けて見せた。


「わぁ!すごい....青葉君流石だね!!」


先輩は無邪気な瞳で僕を見つめる。

キラキラと光をを反射させて光る瞳。

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