第7話
食事を済ませても全然満たされないのはカップ麺一つじゃ足りなかったからか、それとも。
住み慣れた部屋をグルッと見渡すたびに思い知る。
写真立ての中だけではなく、この部屋も由麻との思い出で溢れているってことを。
金曜にもなると部屋のあちこちに服が散乱している。
脱ぎ散らかしてこんな状態にしたのは紛れもなく俺なんだけど…昔は違った。
こういう時、『もう、だらしないなぁ』って文句言いながらも必ず由麻が拾い集めて洗濯も掃除もしてくれてたから。
本棚に並ぶ数冊の少年漫画は、由麻がオススメだってプレゼントしてくれたもの。
大人になってからは漫画なんて読まなくなったのに…見事にハマってしまい、何度読んだか数え切れない。
『これ二人で貯めて、いっぱいになったら旅行行こうよ』
そう言って嬉しそうに見せてきたブタの貯金箱は、棚の上に置いたまま。
癖になっているのか、今でも無意識のうちに小銭を入れてしまうことがあるけどチャリン、という音が響いて我に返っては虚しさが募るだけだ。
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