第24話 リベルティアー2
「えぇ! なにこれ! こんなのしゅごい! しょごすぎます。セカイ様!」
「涎をふけ」
「だって、想像しただけでなんですか。これ! 世界変わっちゃいますよ! うわぁしゅごい、ふわっふわ!!」
魔綿畑につれて、魔綿の木をみせる。
綿に触れて、さらにレイナが用意しておいた綿を糸にしたものをみせた瞬間これである。
一瞬でこの綿の可能性に気づいたのは素晴らしい商人勘だが、ちょっと気持ち悪い。
「今世界は……貴族などが使う高級な羊毛、平民が使う固い生地の亜麻布です。ですが第三の素材が現れたんです。これが興奮せずにいられますか」
セシリアは糸を触って強度や触感を確かめた。
「羊毛に比べても勝るとも劣らない素材。それでいて製造コストが低すぎる。10キロで300ゴールド!? ありえなさすぎますよ!」
「その代わり、この綿で作った服の値段は安くしろよ」
「当たり前です! 高くても売れますが、安くしたらもっと売れます! そのあたりはプロなので任せてください!」
綿の値段は悩んだ。
正直俺はコスト無しで生産できるんだが、じゃあ無料でというわけにはいかない。
なので前世の綿の値段は1キロ300円ぐらいだったので、それに合わせた。
レイナに相談したら、安すぎますが広めるためにはそれぐらいの価格破壊があってもいいと思いますとのこと。
「ここ一面を魔綿畑にする予定だ。収穫は150日周期。一度に収穫できる量は……千本は植えるから、1トンはあるか。衣服の生産まではこちらでやる予定だから。お前は販売ルートを確立しろ。衣服は今のところ平民でも切れる安価な服……そうだな、一着100ゴールドぐらいを想定しているからお前は200ゴールドぐらいで売れば十分利益がでるだろう」
東京ドーム三つ分ぐらいの畑。
その一部区間を使って、とりあえず千本植えることにした。
一本当たりの生産コストは150魔力なので、大体150000魔力必要だ。俺の魔力が今、7000まで増えているので20日もあれば可能だろう。
「綿が1トン……羊毛換算で200グラムで服ができると考えると…………5000枚!? それを一着100ゴールドで仕入れるとして……50万ゴールド。それを販売時に、200ゴールドで100ゴールド上乗せするから輸送費等計算しても……利益率は…………うわ、すご。じゅるり」
「涎がたれてるぞ。ルートが確立して、さらに必要になればもっと生産できる」
「わかりました! 全力で頑張らせていただきます! 世界をリベルティア領の衣服で埋め尽くしてしまいましょう!」
セシリアがうへへと涎を垂らしている。
想像するだけでぼろ儲けのようだ。
「セカイ様~」
すると猫なで声で腕に手を絡めてきた。セシリアの必殺技、あててんのよだ。
必ず殺すと書いて必殺技と呼ぶ、俺は思わず鼻の下が伸びた。
「絶対、満足いく結果にしますから。その衣服、イロアス商会にど・く・せ・ん……させて欲しいなぁ。そしたらぁ~セシリア。頑張っちゃいます」
「ほ、ほう? なにをだ?」
「なんでも」
上目遣いでエッチな声を出してくるセシリアさん。
さわさわっと俺の膝を触ってきて、とてもゾクゾクする。
思わず喜んで! と言いそうになった。
ゾク!!
直後、背後からとてつもない冷気を感じた。
「セカイ様? いい加減にしてくださいね」
レイナが笑っていた。
死神のような笑顔で。
「今、領主様と商談中なので割り込まないでくださいますか?」
「私はセカイ様の秘書ですから当然割り込みますが?」
「レイナさん。それって…………秘書だからですか? それとも……」
「おっふ」
そういいながら俺の体をエッチに撫でまわすセシリアさん。
さっきからセシリアさんと呼んでしまうほどに、主導権を握られている気がするし思わずおっふと言ってしまった。
でも仕方ないよね! 男はみんなバカだから! 今IQ2ぐらいだから!
「セカイ様、あとでお仕置きです」
「セシリア、離れろ。不敬だぞ」
「はーい!」
にこっと笑って俺から離れるセシリア。
そのまま笑顔のレイナとセシリアが微笑みあう。
笑ってるよね? 俺にはメンチきってるようにしかみえないんだけど。
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