第11話

私はチラリと横目で星ちゃんを見ると、彼はなんと目を閉じ、船を漕いでいた。




えぇえーーー……

いや、私もさっきまで眠たかったけどさ?


普通、よく分からん部屋でしかも良く知りもしない人が居て、よう寝れるな?????


びっくりだわ!



私は横目で見るではなく、完全に星ちゃんに顔を向け驚いていた。





「……よく寝るね…」


まだ、完全には眠ってないだろうと思い星ちゃんに話し掛ける。



「…よ…るは寝れないから…な……」



完全に寝そうだな!!!



「へー、なんで寝れないの??」

「…人を…探してるから…」


星ちゃんはコクコクと船を漕ぎながらそう呟く。



誰かを探してるから、夜寝てないのか…

なるほど。




「……こ」

「え?」


私が納得していると、今にも眠り落ちそうな星ちゃんが何かを呟く。


私は少し星ちゃんに近付き、耳を傾ける。




「ま…いね…こ」


「!!」


星ちゃんの口から舞猫とゆう単語が確かに聞こえ、私は驚く。




舞猫を探している??

なんで、私を…?


え?私、この人に探される理由なんて無いよね??

何もしてない……はず。



私はとりあえず、舞猫の時の記憶を引っ張り出し、考えるが…


うん、舞猫の時に星ちゃんに会ったことはない。

私に…舞猫に何の用だ??




うーん……


私は数分…いやもしかしたら数秒かもしれないが悩み、考える事を放置した。




「………舞猫は暫くは現れないから、今探しても会えないよ」



ボソッと私はそう呟くが、眠ってしまった星ちゃんに聞こえていたかどうかは分からない。

とりあえず、私は部屋に置いてあるタオルケットを取り出し、星ちゃんに被せる。




「おやすみ」


小さな声でそう呟くと、私は先程吸えなかった煙草を取り出し、窓の方に向かう。






肺いっぱいに煙を吸い込み吐き出す。

吐き出した煙は空に向かい、消えてゆく……






さて、一服出来た私は眠気も覚めてしまい、スマホを取り出すとライにLINEをした。


お腹が空き、何故かドーナツが食べたくなり、ライにドーナツ屋にて集合をかけた。



私は星ちゃんを見てこの人をどうするか悩み、書き置きを残すことにした。

自分は帰る事とタオルケットはそのまま置いておくと良い事を紙に書いてテーブルに置く。


そして、私は静かに部屋から出て行く。





何のドーナツを食べようかなー。


私の頭ん中は7割ドーナツの事で残りはライに星ちゃんの事をどう説明するか悩みながら、学校を出る。





久しぶりに食べるドーナツにウキウキになっていた私は、ライに怒られるなんてこの時は知りもしなかった………

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