第6話

落ち着け小鳥遊 美咲。


このぼーとした男の背中に飛び蹴りを食らわしたい気持ちは分かるが、冷静になるのだ。




私はふぅと深呼吸をし落ち着いてから男を改めて見る。


180cm以上はありそうなスラリとした背に、赤茶色の髪に暗くてよく分からんが多分焦げ茶色の瞳は眠たいのか半分閉じかかっている。



まだ、眠いんかいっ!




眠たそうな男に驚きつつ、かなりの美形で、こんな人この学校に居たんだと驚いた。


まぁ、周りに興味かなったから知らないでも仕方がない。






今はそんな事よりも…


私は起きた時に感じた空腹感。

そう、今、私はお腹が減っている。




私は男を見て、帰らないのかこの人とか思いつつ、私もその場から去ろうとはしなかった。



「ねぇ、何か食べ物持ってない?」


私は食べ物を持ってなかったので、この人が持ってたら恵んで貰おうと、その場から去らなかったのだ。




男はチラッと私を見て、少しの間を置いて、ポケットから棒付きキャンディを取り出して、私に差し出した。


おおっ!!ありがたい。



私はお礼を言い、キャンディを舐める。

味はリンゴだった。



キャンディを舐め、視線を男に向ければ男はまた、空を眺めていた。


私も男の横に並び、同じように空を眺める。




「明日も良い天気だね」


私がそう呟くと、男は眠そうな目で「そうなのか?」と聞いてきた。



「そうだよ。だって、こんなに満天の星なんだから」


私は笑って、雲ひとつない、星と月がキラキラ輝く空を眺めた。


「そうか…」

男は頷くと、少し開いた瞼で空を見上げる。






「ねぇ、名前聞いても良い?」

キャンディを咥えたまま、私は男に聞く。



「…………藤井ふじい 星空せいあ


男は少し間を空けそう名乗る。




「藤井 星空……じゃぁ、星ちゃんだ!」

「あ?」


私の馴れ馴れしい呼び名に、星ちゃんは眠たそうな目はなんだったんだってくらい物凄い目付きで睨んできた。

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