第10話
カタカタカタカタカタ。
「遥香ちゃん、今日変じゃない?」
「遥香ちゃんはいつも変ですよお」
仕事に没頭した。
プレゼンを、考えおわったあと
やっと肩の荷が降りた。
「はあー!」
コーヒーでも取りに行こうと
給湯室に向かう。
「はい、どうぞ」
ドクン。
部長がコーヒーをもって
立っていた。
「いらないです。」
給湯室でコーヒーができるのを
待っていた。
「遥香」
「ひやあ!」
美咲だった。
「にひひー美咲探偵は見たのだ!
部長からのコーヒーを貰わなかった
遥香ちゃんを!」
「当たり前でしょ」
「なんでー?貰えばすぐ飲めたのにー」
あの人に優しくしてもらうぎりなんてない。
「大体ね、あんなタイミングよく
コーヒー持ってくる男にろくなやつなんて
いないのよ、ほんとストーカーですかーって感じ」
「遥香ちゃん…」
「なあに?」
うしろ、うしろと美咲が
指さす
振り返ると吉田部長が立っていた。
「あはは…」
「吉田くん、至急部長室まで」
思わずコーヒーを
落とすとこだった。
ほんとに、間が悪い時にやってくるなあと
しみじみ思いながら
ドアノブを握る。
「あれは酔ってたんだ、酔ってた、うん」
ガチャ
開けると吉田部長が
目の前に立っていた。
「…すみませんでした」
ふとでた言葉に意味なんて無かった。
「そこ座って」
「はい」
なにを言い始めるのか
内心ドキドキしていた。
私が部長の愚痴を吐き散らしていたのは
2回目だ。
「そんなに俺の事、嫌いかい?」
「はい」
真顔で答えた。
即答だった。
「あの日、言ったのは嘘?ってことかな?」
「あの日は酔ってたんです!
誰にでも間違いはありま」
口を塞がれる。
顔が近い。
だめだ、私はこの人を
前にするとなにもかも許してしまう。
「くちゅ」
「ふぅ、ん」
改めて見るとまつ毛がすごく長い。
この人はどこまで完璧なんだろう。
「ぷはっ!」
「苦しかった?」
余りの深い口付けに息ができなかった。
自分でも恥ずかしくぷはっ!なんて
言ってしまった。
「ずるいです…」
私からもう一度キスをする。
あぁ、もうこんなにこの人の虜に
なっている。
もはや、この人以外の男性は
男性と思えなくなるくらい。
キスがおわったあと
しばらく抱きついていた。
「ほんと、小さいな」
と、頭をなでられる。
「うるさいです…」
今にでも眠ってしまいそうになる
この匂い。
頭の中が、身体中が
この人で満たされていく。
あぁ、好きなんだ。
自覚したころには
もう、遅かった。
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