第6話


マンションまでついて

自分がどれくらい濡れてるか

気づいた。


「あちゃー、これクリーニングいきだあ」


吉田部長の高そうなスーツも


「って、まってえええ!」


ネクタイを緩めて、ボタンを

外したところで私は止めた。


「まさか、裸になるわけじゃないよ」


「と、とりあえず、うちでそのびしょ濡れの

頭ふいてください!」


と、勢いよく言ったはいいが

自宅に入れてしまった。


「ぶちょー、乾きましたかー?」


ガラっと洗面室のドアが空いた。


いつも髪の毛をあげているからか

髪を下ろしている部長を見るのは初めてだった。


「よ、よかったらこれどうぞ」


風邪予防のためのゆず茶。

母に教わったものだ。


「ゆず?」


一口飲んで部長が言う。


「はい!母から風邪予防のときは

これ!って教わりましたので!」


「うん、美味しいね」


髪をおろしているからか

いつもより若く感じる。


かわいい、、、


なんてふと思った。


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