愛の棲家



「雛は酷いよね。僕の心を弄んで。」


御形の襟元から覗く、肌に刻まれた赤い跡。付けたのは他ならぬ雛月で。


「・・・・・人聞きが悪いですね。」


目に毒で視線を逸らした。


「何ですか・・・・・?」


御形は手を伸ばすと、雛月の頬を撫でた。


「続きをしようかと。」


「朝ですよ、朝。」


雛月の頭痛は酷くなる。



「煽った責任は取ろうね。もう待てない。」


頬から首筋に手が滑り、顔が近付けられた。が、唇が重なる前に止まった。


雛月が眉を顰めうっと、吐き気を訴えたからだ。


「気持ち悪いの⁈大丈夫っ⁈」


焦った御形は両手で受け止めようとしたが、雛月は脱兎の如く走り出しトイレに駆け込んだ。

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