愛の棲家



雛月の体には、御形が付けた歯形や内出血の跡が残されていた。意識を飛ばし抱き潰され、足腰が使い物にならなくなる事もあった。


御形は一度関係を持てば終わり、孕ませるヘマは犯さず、処理する単純作業で情は湧かなかった。


優しくするのは自分の為だった。


非情で冷酷な部分があるのを自覚していた。


欲しい物は手に入れる、どんな手段を使い憎まれようがお構い無しで。



愛しくて切なくなる、そんな風に思う相手は雛月しかいない。



流派を継承する、“片桐”の血を引く跡取りが必要なのに違いは無いが、雛月との子供が欲しい。


子供は愛の結晶と言うけど、雛月との確実な繋がりが欲しかった。



婚姻関係を結び、妻にしただけでは満足しなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る