第八編

虐待親にざまぁ

 ――えっ。ここ、どこ?

 英花えいかは目覚めた瞬間、自分がどこにいるのかわからなかった。

 自分の部屋ではない。

 それはわかった。

 ベッドに寝ている。

 それもわかった。

 ――でも、それなら、どこなの?

 目に入る天井はまったく見覚えのないものだった。空気のなかに薬品のような匂いが混じっている。ベッドに寝たまま視線をさ迷わせると、どうやら病室にいるらしいことがわかった。

 ――えっ? えっ? どういうこと? なんで、あたし、病室なんかにいるの? それに……。

 チラリ、と、英花えいかはベッド脇を見た。そこにいたのは二〇代半ばと思えるひとりの男性。それも、少女マンガの世界から抜け出して来たような、いかにもエリートっぽい高身長イケメン。

 その高身長イケメンがジッと自分を見つめているのだ。

 それこそ、一〇〇年もの間、愛しつづけた宝物を見るような目で。

 ――な、なに、この人? なんで、こんなイケメンがあたしのことをこんな目で見てるの?

 英花えいかは思わず真っ赤になり、胸までかかっていたシーツを顔まで引きあげた。すると――。

 ポロリ。

 そんな音が聞こえるような気がした。謎の高身長イケメンがひとしずくの涙をこぼしていた。最初の一滴が垂れると、あとは一気だった。謎の高身長イケメンの両目からボロボロと涙がこぼれ落ちた。

 ――えっ? えっ? なに、なに? いったい、なにが起こってるの⁉

 英花えいかはパニックに陥った。しかし、それで終わりではなかった。謎の高身長イケメンは、

 「やっと、やっと……」

 と、泣きそうな声でそう呟くといきなり、英花えいかに抱きついたのだ。

 ――ええっー! なんなの、これえっ⁉

 英花えいかはパニックに陥りつつ、心のなかで思いきり叫んだ。


 「それじゃ、あたしは一五年間、眠ってたんですか⁉」

 そのあまりにも衝撃的な言葉に、英花えいかはさすがに仰天ぎょうてんした。椅子に座ったまま飛びあがるようにして叫んだ。

 「そうです」

 と、目の前に座る担当の医師と看護師――そして、例の高身長イケメン――が、そろってうなずいた。

 「あなたは一五年前、親によって殴られ、意識を失いました。よほどの偶然が重なったのでしょう。あなたはそのまま意識を取り戻すことなく一五年もの間、眠りつづけていたのです。それも、成長ホルモンのバランスがくずれたのか、成長がとまったまま」

 「そ、それじゃ……あたしは一五年、眠っていたのに、いまもまだ一六歳のままなんですか?」

 「そうです」

 と、医師は無慈悲とも思えるぐらい冷静にうなずいた。

 ――一六歳のまま。一五年、眠っていたのに。

 果たして、それは『お得だった』と言っていいことなのかどうか。英花えいかにはさすがに判断がつかなかった。

 とりあえず、英花えいかにはそれよりもっと重大なことがあった。チラリ、と、英花えいかは横目で謎の高身長イケメンを見た。あまりのイケメン振りと自分を見つめる視線の熱さに、たちまち顔が真っ赤になる。思わず、身をちぢこませてしまう。

 それでも、勇気を振りしぼり、どうにかこうにかやっとの思いで尋ねた。

 「あなた……本当に、ゆうくんなの?」

 「そうだ」

 謎の高身長イケメンはうなずいた。

 「君の幼馴染みの高槻たかつき悠斗ゆうとだ」

 「で、でも、ゆうくんはまだ一〇歳の、それに……」

 やんちゃ坊主で……とは、さすがに、こんなおとな相手に言うことはできなかった。

 「あれから一五年たっている。いまのおれは二五歳だ」

 謎の高身長イケメン――高槻たかつき悠斗ゆうとはそう答えた。

 まっすくに見つめられながらの答えに、英花えいかはまたも赤くなってしまう。

 ――で、でもでも! いくら一五年たってるからって、あのゆうくんがこんなイケメンになってるとか、そんなのあり⁉ それも、こんなエリートっぽくなってるなんて……。

 英花えいかの記憶のなかの悠斗ゆうとはどこにでもいるごく普通の小学生だった。生意気ではあるけどちょっとかわいくて、勉強よりもスポーツが得意。クラスの女子たちからは、そこそこにモテている。

 そんな、なんの変哲もない小学生だった。

 唯一、かわっているところがあるとすれば、何事につけて英花えいかに対し、

 「英花えいか姉ちゃん、おれと結婚してよ」

 とプロポーズしていたことぐらい。それだって、一〇歳児であれば『隣のお姉ちゃん』にあこがれてプロボーズするぐらいのことは、まあ『普通』の範疇はんちゅうだろう。子どもらしい『淡い初恋』というやつだ。

 英花えいかはプロボースされるたびに悠斗ゆうとの鼻などをちょんと押して、

 「ゆうくんが成長して、カッコよくて頼りになるおとなになったらね」

 と、笑顔で返していたものだ。

 悠斗ゆうとはそのたびにムキになって『わかった! 絶対、そうなる! だから、結婚してよ」と、真顔でそう言っていたものだ。

 ――それにしたって、まさか、本当にこんなエリートイケメンになってるなんて。

 すっかり成長して、自分よりも九歳も歳上になった悠斗ゆうとに、それもこんなにも熱い視線で見つめられて、英花えいかは心臓のドキドキがとまらない。

 そんな英花えいかを前に悠斗ゆうとが立ちあがった。その表情にははっきりとした決意が込められている。

 戦士の出陣。

 控えめに言っても、そう言いたくなる姿だった。

 「さあ、行こう。英花えいか

 「えっ」

 いきなり名前を呼び捨てにされて、英花えいかは心臓がでんぐり返った。

 ――い、いきなり、呼び捨てとか反則でしょ! 昔は、いつも『英花えいか姉ちゃん』だったのに。

 まあ、二五歳の高身長イケメンになったいまの悠斗ゆうとに『英花えいか姉ちゃん』などと呼ばれたら、それはそれで違和感がすごいことになるわけだけど。

 「い、行くって、どこに?」

 英花えいかの質問に、悠斗ゆうとは断固として答えた。

 「あのふたり……君の親を名乗っていたふたりのところへだ」

 「えっ?」

 「一五年、眠っていたからと言って忘れたわけではないだろう。あのふたりは君に日常的に暴力を振るっていた。ろくでなしの虐待親だ」

 「そ、そうだけど……」

 英花えいかは口ごもった。

 正直、『虐待親』と呼ばれるのは抵抗があった。

 英花えいかが両親から常に殴られ、罵倒を浴びせられてきたのはまちがいのない事実。なにしろ、朝の挨拶からして『いつまで寝てんだい、このバカ』だったのだ。

 だからと言って、英花えいかには自分の親が毒親だとか虐待親だとかいう印象はない。なにしろ、英花えいかにとってはそれが普通、物心ついたときからの当たり前の日常だったのだから。

 小学生の頃には、どこの家庭もそんなものなのだろうと思っていた。殴られても、罵声を浴びせられても、とくに気にしなかった。中学に入ってからはさすがに『自分の家は普通じゃないかも……』と思うようにはなった。

 それでも、とくに気にすることはなかったのだ。

 なにしろ、英花えいかにとっては『それが普通』だったのだから。

 『普通』のことをどうして、『ひどい』とか『虐待』とか思えるというのか。

 だから、英花えいかとしては、とくに両親を恨む気持ちもない。恨むこともできないほどしつけられている、と言うこともできるが。

 しかし、悠斗ゆうとはちがった。英花えいかなど比較にもならないほどの憎悪の炎をその目に燃やして英花えいかを、いや、ここにはいない英花えいかの両親をにらみつけている。

 「……あいつらは毎日まいにち君を殴り、罵声を浴びせていた。挙げ句の果てに一五年もの間、眠りつづけるような傷を負わせた。君の人生を奪ったんだ。おれは絶対に、やつらを許さない。あの頃のおれは、まだ子どもでなにもできなかった。だが、いまはちがう。おれはやつらをこの社会から抹殺するために法律を学んだ。いまではれっきとした弁護士だ。今度こそ、君を守る。そして……」

 悠斗ゆうとは一切の迷いなく、はっきりと口にした。

 「いまこそ、やつらをこの社会から抹殺する」

 君と一緒に。

 悠斗ゆうとはあまりにも真摯しんしな目でそう言い切った。

 「それのために、今日までまったんだ。君と一緒にやつらを断罪するために。さあ、行こう、英花えいか。いまこそ、君の人生を取り戻すんだ」

 悠斗ゆうと英花えいかに右手を差し出した。とても、『ただの弁護士』とは思えないほどにたくましい右腕を。誘われるままに――。

 英花えいかはその手をとっていた。


 「訴えるだと⁉」

 英花えいかの実家――一五年前までの、と、言うべきか――に、英花えいかの両親の叫びが響いた。英花えいかにとっては一五年ぶりの帰宅。家はさすがに古びていたし、両親もたしかに歳とってはいた。だからと言って『面影がない』と言うほどのことでもない。

 一五年程度では家一軒がどうにかなるには短いし、一〇代の若者ならともかく、すでに四〇過ぎの人間が大きく変化するはずもない。英花えいかにとってはごく普通に『家に帰ってきた』という程度の認識しかない。

 なにしろ、ずっと眠りっぱなしだったので『一五年ぶり』という認識すらないのだ。英花えいかの感覚では『一晩、よそに泊ってきた』という程度のものでしかない。

 そんな英花えいかをよそに、悠斗ゆうとはふたりを相手ににらみ合っていた。その緊張感はいまにも殴り合いに発展しそうなもので、ごくごく一般的な女子にとってはかなり怖いものだった。

 「そうだ」

 悠斗ゆうとははっきり言った。怒りどころか殺意に燃えた目で、英花えいかの両親をにらみつけながら。

 「お前たちは日常的に英花えいかを虐待していた。そして、とうとう、大怪我を負わせ、一五年もの間、眠りつづける羽目に追いやった。その報い、いまこそ受けてもらう」

 「な、なにを言ってる⁉ 我々が娘を殴ったなど……そんな証拠がどこにある⁉」

 「証拠ならあるさ」

 悠斗ゆうとはあわてることなく一枚の紙片を取り出した。

 「な、なんだ、それは?」

 「DNA鑑定の書類だ」

 「DNA鑑定?」

 「英花えいかが入院したあと、お前たちは英花えいかを殴りつけるために使っていたベルトやら定規やらを全部、始末しようとしただろう。あいにく、それは、おれがすべて回収しておいた。そこにこびりついている血痕や皮膚を調べ、英花えいかの体組織だと鑑定された。そして……」

 悠斗ゆうとは、今度は自分のスマホを取り出した。そこにはいくつもの動画がおさめられていた。

 まだ幼い悠斗ゆうとが、英花えいかの両親につめよってはぶん殴られる動画だ。

 その動画のなかで、英花えいかの両親ははっきりと言っていた。

 「いちいちうるさいガキだ! いつまでもつきまとっていると、お前も英花えいかと同じで二度と起きない体にしてやるぞ!」

 動画におさめられた自分自身の音声を聞いたとき――。

 英花えいかの両親は青ざめた。

 そんなふたりをあまりにも冷静な、そう、怒りと憎しみがきわまりすぎて逆に冷静になっている。そうとしか言えない視線で悠斗ゆうとは見ていた。

 「あの頃、おれはただお前たちに殴られていたわけじゃない。いつか、英花えいかが目覚めるときのために、英花えいかが目覚めたあと一緒にお前たちを断罪するために、証拠集めをしていたんだ。わざとお前たちを怒らせ、おれを殴らせ、叫ばせ、その証拠として親にこっそり動画を撮ってもらっていた。それをここまで公表してこなかったのは英花えいかが目覚めるのをまっていたからだ。だが、英花えいかは目覚めた。もうまつ必要はない。この画像すべて、ネットにあげて世界中に公表してやる。もちろん、実名つきでな。今日を限りに、この世界のどこにもお前たちの居場所はなくなる」

 自分の親に向かって、そう断言する悠斗ゆうとの姿。

 その格好良さ、頼もしさに英花えいかは胸のドキドキがとまらない。

 ――こんなの反則だよ。あのちっちゃかったゆうくんがこんなにカッコよくて、頼もしいおとなになってるなんて。

 英花えいかにとっては実感のない虐待親に対する復讐よりも、悠斗ゆうとのそんな姿の方がよほど重大だった。

 「ゆうくんが成長して、カッコよくて頼もしいおとなになったらね」

 その英花えいかの言葉を――。

 悠斗ゆうとは完璧に守ってみせたのだ。

 そして、悠斗ゆうとは言った。英花えいかの両親――もと両親か――に向かって。

 「さあ、覚悟しろ。きさまらの人生、終わりにしてやる」


 そして、悠斗ゆうとはふたりを訴えた。

 それだけではない。メディアやネット上に広くふたりの情報をリークし、世間をあおり立てた。悠斗ゆうとの計算通り、世間は一斉にふたりを叩きはじめた。メディアを見ても、ネットを見ても連日、ふたりを叩くコメントがあふれかえった。

 裁判で有罪になったところで――証拠の質量を考えれば有罪判決は確実だが――しょせん、大した刑になるわけではない。しかし、ここまで顔と名前、そして、実の娘に対する悪行が世間に知られてしまえば、出所してからも社会に居場所などあるはずがない。

 憎むふたりを徹底的に破滅させるための、悠斗ゆうとの策略だった。

 そんな世間の声にも押されて、ふたりが有罪判決を受けるまで長い時間はかからなかった。さらに悠斗ゆうとは弁護士としての手腕を最大限に発揮して、ふたりの全財産を慰謝料として英花えいかに支払わせた。家やら宝飾類やらをすべて処分するとちょっとした財産にはなった。これからの英花えいかの人生で大きな力となることだろう。

 これで英花えいかの両親は出所したところで世間は敵だらけ、おまけに無一文、と言うことになったわけだ。出所するときが来ても『頼むから刑務所にいさせてくれ!』と、すがりついて頼み込む羽目になることだろう。そんなことが許されるはずもないが。

 それらすべてが決まったときの両親の表情。憔悴しょうすいしきったその表情。力が抜けきり、抜け殻になったかのようなその表情。

 ――きっと一生、忘れない。

 英花えいかはそう思った。


 英花えいか悠斗ゆうとの実家に連れてこられていた。

 今日から、悠斗ゆうとの実家に住まわせてもらうのだ。

 生まれてからの年数ではすでに三一年たっている。とはいえ、体も、精神も一六の高校生のまま。知識にいたっては一五年前の段階でとまっている。英花えいかがこれから先、暮らしていくためには生活を保証し、現代の知識と常識を教えてくれる保護者が必要なのだった。

 「うちの両親がその役割を引き受けてくれた」

 悠斗ゆうとはそう言った。

 「もともと、君が目覚めたときにはうちに住まわせてもらえるよう頼んでおいたからな。おれはもう独立していて家には両親だけだから遠慮しなくていい。両親も『夫婦ふたりだけの生活も味気ないからな。英花えいかちゃんが来てくれるなら雰囲気が明るくなっていい』って、歓迎してくれている」

 悠斗ゆうと英花えいかにそう説明した。どのみち、英花えいか境遇きょうぐうでは断るわけにも行かない。さすがに一五年、眠っていて、いきなり自分ひとりで生きていける自信はない。

 大して親しいわけでもなかった悠斗ゆうとの両親にそんな迷惑をかけるのは気が引けたが、親の全財産を慰謝料として受けとったので、経済的負担はかけなくてすむ。それが、せめてもの気楽さである。

 ――でも。

 と、英花えいかはこっそり悠斗ゆうとを見た。

 やっぱり、見ればみるほどカッコいい。エリート然とした風貌ふうぼう。自信に満ちた態度。格闘技をしているとしか思えないたくましい体つき。一八〇センチを超える長身。そして、なによりも新進気鋭の弁護士という完全無欠の肩書き。

 それはすべて、自分のために身につけたものなのだ。

 そう思うと、胸のドキドキがとまらない。

 「これは、悠斗ゆうとさんから固く口止めされているんだけど……」

 担当の看護士がこっそり教えてくれた。

 「あなたの入院費は悠斗ゆうとさんのご両親が出していたのよ。あなたの親は入院費を支払うことを拒否したから。悠斗ゆうとさんが必死にご両親に頼み込んで入院費を出してもらって、働ける年齢になるとがむしゃらに働いてあなたの入院費を稼いで、ご両親にもいままでの分を返して……その一方で猛勉強して弁護士になったの。そして、それからはお金に糸目をつけずに海外から名の知れたドクターを招いて、あなたをてもらって……あなたが目覚めることができたのはそのおかげ。悠斗ゆうとさんは、あなたのためにそこまでのことをしたのよ」

 ――あたしのために、そこまでしてくれるなんて。

 そう思うと胸のドキドキがとまらない。早鐘のように鳴りすぎて、破裂してしまいそう。それぐらい、心臓が高鳴る。

 「おれと結婚して!」

 事あるごとにそうプロポースしてきた、一〇歳の頃の悠斗ゆうとの姿が目に浮かぶ。

 ――ま、まさかね。あんな子どもの頃のことなんて覚えているわけないわよね。第一、こんなカッコいいおとなになったんだもん。彼女ぐらい、いるはずだし……一五年前の高校生のままのあたしのことなんていまさら、なんとも思ってるわけないわよね。

 英花えいかが必死に自分にそう言い聞かせていると、

 「どうした、英花えいか?」

 いきなり、おとなの男――になったかつての年下の男の子――から名前を呼び捨てにされて、英花えいかは飛びあがった。顔中を真っ赤にした。

 「な、なんでもない……!」

 「そうか」

 と、『なんでもない』ことはないのは明らかだったが、悠斗ゆうとはそう言ったきりだった。

 「高校からやり直すんだろう?」

 「う、うん。一年からね。さすがに、いまの高校の授業に途中からじゃついていける自信ないから」

 「それがいい。なにかあったらすぐにおれに言ってくれ。いまのおれはもうあの頃の子どもじゃない。いまのおれには力がある。君を守れるだけの力がな」

 真剣な目で見つめられながら、そう言われて――。

 英花えいかはとてもではないが、いたたまれなくなり、その場を逃げ出した。

 「あっ、ご両親に挨拶に行かないと! それじゃあね!」

 そう叫んで、英花えいかはその場を逃げ出した。

 ひとりの残された悠斗ゆうとは、小さくため息をついた。

 ――君は言ったよな。『成長して、カッコよくて頼りになるおとなになったら』って。言われたとおり、おれは成長して、おとなになった。君を守る力を手に入れるために空手も習った。弁護士にもなった。これから、そのことをたっぷりとわからせてやる。そして……。

 悠斗ゆうとは心に宣言した。

 ――必ず、おれの嫁にしてやる。

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