第3話 いざ自衛隊へ!
自衛隊の試験は無事合格し、残りの学校生活を終えて卒業式も終わった。
そして、家族に見送られながら自衛隊へと向かった。
数時間バスに揺られ、着いた先は札幌、真駒内駐屯地。
「中村幸男さん……ですね。六区隊の第三班です」
受付を済ますと、部屋へと案内される。
そこは、四階建ての隊舎の三階の一番端であった。
「ここの部屋です。不必要な荷物等は向こうの私物庫に入れてください。他の人達が来るまで、荷物の整理を済まして下さい」
「わかりました。ありがとうございます」
案内をした人はそのままその場を後にする。
部屋には、二段ベッドが五つとロッカーが十個あった。
ロッカーとベッドにそれぞれ名札が貼られていた。
「おお……ここが……っと、その前に、俺のベッドは……と」
軽く自衛隊の部屋に見惚れる。
しかし途中で我を取り戻し、部屋の奥まで行き、自分の名札を探していると部屋にもう一人入ってくる。
「あ……どうも」
「……どうも」
二人は軽く頭を下げて挨拶する。
陰キャ全開である。
「お、ここか。めっちゃ見落としてたな」
自分の名札は入ってすぐの所にあった。
自衛隊の部屋というものに浮かれて気が付かなかったのだ。
取り敢えず、ベッドの上に荷物を下ろす。
「お?」
「ん?」
すると、先程入ってきた男も同じところに立ち止まる。
ベッドの名札を見ると、『瀬尾勤』と書かれていた。
「……いわゆる、ベッドバディって奴か。よろしく」
「うん……そうみたいだね。こちらこそよろしく」
自分よりも少し背が小さく、優しそうなその男は先程とは打って変わり、柔らかな態度で挨拶を済ます。
「じゃあ改めて、中村幸男です。よろしく。旭川の高卒で、そのまま自衛隊に来たんだ」
「え!? 旭川!? 俺もだよ!」
「マジ!?」
その後、二人は身支度を済ませつつ、話に花を咲かせた。
「俺ガン◯ム好きなんだよね。なんか好きなアニメとかある?」
「本当!? 俺もガン◯ム好きだよ!」
楽しく会話を続けながら不必要な荷物を私物庫にしまい、部屋に戻る。
すると、荷物を抱えた人が立っていた。
新しい仲間である。
(いやぁ、こんなに趣味の合う人がいるなんてな! 次の人はどんな人かな!)
ウキウキしながら、その男に声を掛ける。
「どうも、中村……」
声をかけようと近寄る。
すると、その男は振り返る。
「……ゆきお……です」
目つきが鋭く、殺されそうな勢いであった。
「あ?」
まさに前途多難である。
自衛隊小話 〜中村陸士長の自衛隊生活〜 @nakamurayukio
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