第5話 ボス戦闘と美少女ムーブ
氷の壁から顔を出し、俺は爆発した建物の方の状況を見る。
「やべっ」
「ドォォン!!」
するとさらに爆発が起こったので、俺は氷の壁をさらに分厚くして爆発の衝撃に耐える。
幸い氷の壁はビクともしていないけれど、爆発の音で正直チビリそう。
耐えろ俺の膀胱……。ょぅι゛ょのおもらしはピク◯ブとかファン◯ックス案件になるぞ……。いやょぅι゛ょじゃなくても美少女ならそういう案件になるがね。
「ヌッ……」
俺は改めて氷の壁から顔を出して建物の状況を見る。
建物は見るも無残に破壊されており、跡地には魔力の残滓が広がっている……いや、違うな。
「……集まってる」
そう言葉を発した後、段々と魔力はその跡地へと集まっていき、やがて跡地の中心に黒い点を生み出す。
念のため、俺は氷の壁を強化しておく。
「本当は一刻も早く離れたほうがいいんだけど……」
標準装備である、俺の研ぎ澄まされた美少女レーダーが反応している。この先に美少女がいると。
「美少女がいるなら助けるしかない……そうだな、ラ◯ナー!」
ちっちゃい犬歯を剥き出しにして、俺はその時をじっと待つ。
黒い点は魔力の吸収スピードを加速度的に早め……やがてその時が訪れる。
「――ッ……ドンッ!!」
爆発などではない、音を置き去りにした衝撃波。
氷の壁はその衝撃波に耐え切るも砕け散り、俺の目の前には、黒い点ではなく先ほど見たばかりの不思議な穴が現れていた。
不思議な穴の中心部には穴の先がかろうじて見えており、そこには美少女四人が何かと戦っている光景が見えた。
「大丈夫、私が来たっ!!」
☆★☆
俺は不思議な穴を通りダンジョンへ潜る。
どうやら不思議な穴は空中に生成されていたようで、一先ず床付近まで降りようと、俺は自由落下に身を任せる。
降りている間に周りを見渡すと、不思議を穴の先に見えていた光景が広がっていた。
ツタが巻き付き苔を生やした白い柱、一面を芝生が覆い尽くしている床、朽ちて一部が見えなくなっている、球状に描かれた天井の絵画。
そして何より、この場所で戦闘している美少女四人と、ツタの絡みつく白い鎧を着た、巨大な騎士。
「まずは先手っ!」
地面付近で再び身体を浮かせ、安定した体勢になると同時に片手を突き出して魔法陣を作り出し、美少女達の遥か後方から鋭く硬い氷の針を飛ばす。
「ガンッ!!」
氷の針は徹甲弾のように相手の鎧を貫き、小さいながらも確かに鎧に穴を開ける。
重装甲には貫通属性……知識をくれてありがとう透き通った世界観のソシャゲ。
「もういっちょ!」
今度は頭を目掛けて、氷の針を何発か飛ばす。しかし鎧は俺の攻撃を警戒して、とても滑らかな動作で全弾を避ける。
ヘイト向いたな、こりゃ。
「さて、即興だが美少女を演じるとするか……んっん゙、ん゙っ゙」
俺は声帯を低めに絞り、前にいる美少女達に声が届く距離まで近寄る。
理想のムーブは、突然やってきて強敵を圧倒するつよつよ美少女妖精ムーブ。
だけど、ぶっちゃけ相手の力量なんて全然わからないし、そもそもそんなムーブが出来るかどうかは不安だが、最悪でもこの美少女達は守りきってみせよう。
「貴方達は下がってて。ここは私がやる」
すると美少女達は理解が稲妻級なのか、私の言葉を聞いてすぐに後ろに下がる。
うんうん。よく見たらみんな装備とか身体がボロボロだし、頑張ったから後でいっぱいよしよししようねぇ……失礼、心の中の欲望が出てしまった。
『汝、その身で何故人を守る』
おっ、無言守護者系鎧さんかと思ったら、意外に喋るのか。これは尚更つよつよムーブのしがいがあるねぇ。
「ただの気まぐれ」
『……笑止』
そう言って敵は金の装飾が入った白の大剣を俺に突き出す。
「……あら」
『その程度の意気込みでは人を守れぬと知れ』
「その程度でも守れるのよ」
『後ろの人間と同じ様に、苦痛にあわねば理解できぬか……ならばそのようにしてやろう』
俺は片手を突き出して魔法の準備をする。
「気をつけてっ……相手はAランクのモンスターだからっ……」
後ろの美少女の一人が声を掛ける。
ありがとうねぇ。俺頑張るからねぇ。
『まずは小手調べだ』
敵は図体に見合わぬスピードで予備動作を終え、すぐさまこちらへと斬りかかる。
「遅い」
そう言って俺は氷の壁を正面に作り出し、大剣を受け止め、弾く。
『なっ!?』
敵が剣の勢いに釣られ、大きな後隙を見せた所で俺は氷の壁を消し、マシンガンのように氷の針をばら撒く。
量の代わりに針一個一個の威力は弱めだが、それでも何十本かは鎧に刺さるほどの威力を見せていた。
『っ……そのような攻撃は魔力の無駄だ!』
体勢を戻した敵は剣を床に突き刺し、床に巨大な魔法陣を創り出す。
そして魔法陣から魔力が溢れ出すと、俺に向かって白い無数のレーザーが向かってくる。
「ふっ」
俺は一気に上へ浮き上がり、流れで氷の針を無数にばら撒く。
その後も戦闘は続いていき――俺は後手後手の動きではあるけれど、的確に相手の動きを読んで防ぎ、後隙を作って的確に敵の鎧を貫通していく。
今の所、敵の攻撃は何とかノーヒット。このまま押し切れるか……?
『ぐっ……!』
穴だらけの鎧を動かし、敵は最初よりも遅い攻撃を繰り出す。
「もうギブアップかしら」
俺はその攻撃を氷の壁でしっかり防ぎ、後隙に氷の針を……撃たない。
『……っ!?何だこの魔力量は……!?』
「沈みなさい」
俺は氷の針を出す時に創る魔法陣より大きな魔法陣を創り出す。
「
瞬間、俺を中心として床に生えていた芝生は若々しい緑色から水色へと色を変化させ、その変化は意志を持って一気に敵へと迫る。
『ぐっ!?』
変化は一気に上へと昇り、敵の足元が氷で覆われると、顔の鎧から白い息が出始める。
『我が……このような……』
「終わりよ」
俺が手を上に挙げると、それに応じて氷は敵を覆い尽くし、やがて敵ごと砕け散り、小さく光り輝く粒子となる。
「さて……」
俺は敵がいた場所にドロップした白い球体を手に取り、美少女の方へと振り返る。
「スッ……」
俺は不思議な穴に向けて手を伸ばすと、ダンジョンを出れるように、不思議な穴と地上を繋ぐ氷の階段を創り出す。
「その身体じゃ、これ以上無理はできないでしょう?」
続いてドロップ品の白い球体を美少女達に優しく投げる。美少女達が無事にキャッチしたのを確認すると、俺は美少女達に背を向けた。
「さ、帰りなさい」
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