第4話 外と事件

「そうですか。えっと……なら、ダンジョンの外まで連れて行ってください」


 ついに言ってしまったぁ!!


「……はい?」


 四人めっちゃ困惑してるぅ!!どうしよう!そもそも警戒されてるってこと無いよね!?妖精ってあっちの方々からすれば味方か!?敵か!?無害な美少女妖精アピールすれば通るのか!?

 ……いや通れ(願望)


「……えっと、あそこの魔石、全部持っていって良いですから連れて行って下さい」


 俺はダメ押しで、たまたま放置する予定だった魔石を依頼料として受け取ってもらおうと、魔石を持っていない左手で指差す。

 勿論、美少女スマイルは忘れない。


 すると、四人は俺を警戒しているのか、円を組んで話し合い始めた。


「……?」


 俺は出来るだけ悪意があると見られないように、きょとんとした顔で待つ。

 こちらとしては、路頭に迷いながら一人で進むより早くダンジョンから出たいだけなのに……何だか悪役になった気分だ。


「――分かった」


 やがて話し合いが終わり、リーダーらしき黒い鎧を着た男が口を開く。


「その提案を受ける。ただし……何もしないでくれ」


 なんか恐れられている気もするが、まあ良かった……。

 これなら何事もなくダンジョンに出て、ようやく異世界の景色を拝めるな!外に出たらどうしようか……街だったら魔石を換金して、別の場所だったら適当に歩いて異世界を実感したり……。

 それか、俺の口調とか立ち方とか、そういったキャラ決めをして、普通に美少女をするか――正直言って悩むな。


 まあ取り敢えず外に着いてから考えよう!



☆★☆



「それじゃあ」

「ありがとうございます」


 ダンジョンの外を求めて着いた先は、一本の長い廊下と、その廊下にある多数の横道に不思議な穴が存在する、まるで新宿駅を彷彿とさせるような場所であった。

 そんな光景に圧巻しつつも、連れて行って貰った四人にお礼を告げ、俺はパーティーと別れる。


「……」


 四人が廊下へと進み、角を曲がって視界から消える。俺はチラリと後ろを振り返り、先ほど通ってきた不思議な穴を見た。


「すっご……」


 語彙力が足りない事は重々承知してるが、なんなら国語の内申は2だったが、それでもこの不思議な穴は言葉に表しがたいものだ。

 ……そんな不思議な穴を一通り見た後、俺は改めて外へと歩き出す。四人の情報によればこの先の廊下へ行って階段を下れば確か外で――


「……おぉ〜!」


 俺の視界には、近未来という言葉がぴったりと当てはまるような都市の光景が広がっていた。

 ゴミ一つない地面、綺麗に舗装された道路、白を基調とした清潔感を感じる建物の数々。


「……すっご」


 一先ずその辺をぶらぶら歩きながら、俺はこの都市を見て回る。

 道行く人々を見ると、でっかい大剣を持っていたり、装飾の凝った杖を持っていたり、果てには銃を持っていたりと、治安は良さそうなものの、中々に物騒であった。


「意外と平和……だよな?」


 そう思った矢先であった。


「ドォォン!!」


 突然、俺の横で爆発が起きる。

 俺は咄嗟に氷の壁を作り、爆発の衝撃から身を防ぐ。


「言ったそばから何なんだぁ!?」

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